3月11日から二週間は音楽なんて聴きたくなかった。言葉しか欲しくなかった。ラジオからの情報誌かいらなかった。音楽なんて邪魔っけで、単三電池二個で鳴るラジオから音楽が流れてくるとそのたびにダイアルを回してテレビの1チャンネルなんて聞いてたりもした。好きな曲が聞けなかったからかもしれないけど、音楽が邪魔だなんて、中学でロックを聴き始めて以来一度もなかったことだから自分でも驚いた。十日ぐらいして仕事に出始めてもそれは同じで、音楽は邪魔で情報を伝える言葉だけ欲し続けた。
でも、そんな中でムックムクと起き上がる何かが胸の中にあって、それに従って
Power To The People/John Lennonを聞いた。
びっくりした。
やさしい……!!
メッセージを高らかに歌い上げる、というよりは、叫ぶ、完全に「力強い歌」として俺の頭にあった曲が、優しかったのだ。
ほんとにびっくりだった。
あれから三ヶ月たって、新たに思ってることがある。
好きなものには「わけ」がある、ってことだ。