角田光代という人の本を初めて読んだ。
「対岸の彼女」。
直木賞受賞作っつーからどんだけ込み入ったお話なのかと思ったら、
構成は二段構えになってるとはいうものの、話の流れはいたってシンプル。
へえ、直木賞ってこういうのも選ぶんだ、と嬉しい裏切り。
しかしまあそんなレッテルからくる思い込みはともかく、
読み始めてすぐに引き込まれたのには理由があった。
お、これは!
小説版(そして女性版)「君が僕を知ってる」じゃないか!
最後まで読むとちょっとまあ、こう言い切っちゃうには無理があるかな、と思わなくもないが、
でも俺が受けた印象はしっかりそんな感じ。
で、最終的に行き着くのは、
友情(Oh!恥ずかしー!)には個人としての自立が不可欠なのだ、ということ。
「君が僕を知ってくれてるからすべてはオーライ、ばっちしだぜ」じゃなくて、
「誰にも依存しない僕がいるから、君も僕をわかってくれてる」じゃなきゃ、ってこと。
いやあ、音楽や小説をこんなふうにわかったように解説しちゃいかんのだけどね。
でも、お互いが補完しあって、印象がはっきりするってのはある。