ターンテーブルの上に置き、回転数を45r/mにセットして回転し、まずはクリーナーをあてる。
おおかたの埃はこれで除かれるけれど、これだとまともな音で再生されない。
綿棒を無水アルコールに浸す。
回転させているレコードに、綿棒を内側からなぞっていく。
時折、指先にガツガツとかすかな衝撃が伝わってくる。
しつこい汚れに綿棒が引っかかっているのだ。
レコードをターンテーブルから下ろし、レコードの内袋にのせ、新たにびっしょりアルコールに浸した
綿棒を引っかかっていたと思われる箇所にあてて左右に弱くこする。
大概の汚れはこれだけでは除かれない。
弱くなぞった程度で落ちる汚れならガツガツ言ったりしないのだ。
アルコールが乾ききっていないのを確認して、もしくはみたび新たにアルコールに浸し、
今度は強めに綿棒をあてる。
ちょうどレーベルのあたりに手をのせ、レコードの溝に沿うようになでる。
それでも取れないような汚れは例外的措置として、指でなでてみる。
それでもだめなら非常措置、軽く爪をあてる。
汚れだと思っていたものの正体が、正真正銘の傷だったりすると、落胆は大きい。
その曲だけははずさなければならない。
MDに収めるのをあきらめる。
一切の情は通じない。
今のところ、この害に遭遇したレコードはLittle Walterのベスト、一枚だけだが。
はじめ、アルコール漬け綿棒の作業をせずに、録音したレコードは結局、
この作業をし直して録音しなおした。
この作業をやり始め、綿棒の汚れを見たら、これは……と思ったからだ。
まともな音になるわけがない、と。
綿棒は必ず、2枚も録音を終えると、真っ黒になるのだ。
カビである。
特に一曲目がひどい。
無意識に盤面に触れていたのが、十数年の歳月を経て、がっちりとカビに変化していたのである。
アルコール綿棒で掃除したあとのレコードはめでたくもきれいな姿で保管されることになる。
静電気もある程度、軽減されるようだ。
今年いっぱい、この作業は続く。
来年になったらしない。
レコードとの本格的お別れの年末となる。
来年はMDばっか聴いてんだろうなあ。