久しぶりに滅入るようなことをしちまった。自分で自分の気分を害するというやつだ。後味が悪いとも言う。反省すべき事柄とも言う。きちがい沙汰とか、大人気ないとも言う。
車2台がすれ違えない、そこは狭い道だった。
あっちとこっちで一台ずつ、どちらかが下がれば話は済むところだが、こっちはS字状にバックしなければならなかった。約20m。あっちは直線に約10m。明らかにあっちがバックするのが手っ取り早い。簡単。楽チン。俺があっちの立場ならまったく迷うことなくバックする。一考だにせずに即座に下がる。
ところがあっちは下がらない。状況が見えてないのだ。たった10mバックすりゃあいいだけなのに。
それともバックできない?お嫁さん乗せてんの?霊柩車?わからん。ただ単に、下がらない。こっちにS字バックせよという意思表示?ただ睨んでくるのみ。
いやね、脇に寄せるスペースはあったのさ。でもそこは明らかによそんちの敷地。よそんチだよ。入ってっていいわけない。ダメなの、入っちゃ、普通。
しかしあっちの見解はきっとそこに入れということなのだ。非常識モノ!
じりじりじりじり俺は頭を進めていった。下がれ下がれ!下がれおろう!
下がった。
しかしやることなすこと中途半端なやつというのはいるもんで、こんだけ寄せればいいかな?ってな感じでちろちろっと2・3m下がるのみ。
あ~あ~あ~あ~、はいはいはいはい、わかりましたよ、へたくそちゃん。非常識モノになったろうじゃねえの!S字下がってるあいだに生協さんの配達トラックでも来たら危ないかんね。入れたよ、ケツから、ひとさまんチへ。
はてさて、ピッでも、プッでもなくただするするっと通り過ぎていくあっち、アベックor夫婦乗せた車。
礼儀知らず。
しょうがない、こっちが鳴らしてやった。
Booooooooo!!!二度と通るんじゃねえ!二度と目の前に現れんな!
その雄叫びを聞き、きっとあっちは「なにあの人」とか言ってるに違いなかった。
「きちがいじゃねえの?」とかも言ってるに違いない。
あー、いいさいいさ、きちがいで。
状況読めぬ、礼儀知らずのばか者には狂気で対抗するしかないのだ。
しかし、う~ん……やっぱり10m下がらせるんだった!