天気予報は来週からずっと25℃以下になると言う。てえことはぶり返したこの暑さは名残り熱?夏の最後を見届けんと海へ。
ギシギシの自転車。その前を猛スピードで横切るやつら。大、中、小、極小のカニども。28年前にはこんな奴らいただろうか?いないわけはない。目に入ってなかっただけだ。腰に回された腕にのみMy Heart集中の遠い夏。
下水処理場の区域を時に息を止めつつ行くと、右手に野球グランド。と思いきやピッチャーは下手投げ。オッサン達のソフトボール、三面、四面と続く。ここにこんなスペースがあったんだね。静かに人が群れ、楽しんでいる。左に貞山堀、松林。その向こうに海はあるんだが、気配も感じさせない。あ、ウォークマンしてたからだね。オーティス・レディングの「Whisky A Go-Go」。海へ向かう耳に「Whisky A Go-Go」?そう、海へ向かう耳に「Whisky A Go-Go」。
直径1m前後の岩(!)4個で車を遮断した隙から左へ。砂地となった所で自転車を横倒し、「一応ね」と鍵をかけ、イヤホンをはずし、「音」がするほうへ。
階段を上りきった所に20才前後?男女の背中。いえ怪しい者ではありません、見ての通りのチャリおやじでございます。てな心持で堤防のてっぺんへ。水平線真正面に貨物船。左側遠くにフェリーor客船。波打ち際にサーファー二人。波はせいぜい50cm。しばらく尻ついて堤の上に安定。静かな夏。
せっかく来たんだから、と立ち上がり、スニーカーに砂が入らんようにとそろそろ波打ち際へ。音世界が変貌した。
ベースに、どこで鳴ってるのか皆目見当もつかない母鳴り(おもなり)、てえかいわゆる海鳴り。その上に「寄せて」、「砕け」、「砂地に沁みてく」、三種の波音。音符を凌駕するリズムと調べ。アジテーション。誰に?何に?
半入道雲的雲浮かぶ、急ごしらえの「名残り夏」の空の下、ちょっと怖い愛に包まれた感じ。
寂しくなかった。
海を背に歩きだすと、まだ砂浜の上だというのに、海の音世界はあっさりと遠のいていった。ステレオのボリュームをいきなり10から3あたりまで下げたような感じ。海音の不思議。
☆夕食はマカロニのラザニヤ風、味噌漬けポーク、トマトとホワイトアスパラのサラダ。幸福の復活。