またまた好きな話しを載せちゃいますニコニコ

N先生は僕ではないです(笑)

『エメラルドグリーンの空』



小学生のとき、足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅いA君がいました。

でも、絵が上手な子でした。

彼は、よく空の絵を描いていました。

抜けるような色遣いには、子供心に驚嘆しました。



担任のN先生は算数の時間、解けないと分かっているのに答えをその子に聞いていました。

冷や汗をかきながら、指を使って、ええと・ええと・と答えを出そうとする姿を周りの子供は笑っていました。

N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせました。

私はN先生が大嫌いでした。



クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、N先生は違う学校へ転任することになったので、全校集会で先生のお別れ会をやることになりました。

生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になりました。

先生に一番世話をやかせたのだから、A君が言え、と言い出したお馬鹿さんがいました。

お別れ会で一人立たされて、どもる姿を期待したのでしょう。



私は、A君の言葉を忘れません。



「ぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました」



A君の感謝の言葉は10分以上にも及びました。

水彩絵の具の色の使い方を教えてくれたこと。

放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。

その間、おしゃべりをする子供はいませんでした。

N先生がぶるぶる震えながら、嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。



昨日、私はデパートのポストカードなどに美しい水彩画と、A君のサインを発見いたしました。

N先生は今、僻地で小学校で校長先生をしております。

先生は教員が少なく、子供達が家から2時間ほどかけて登校しなければならないような過疎地へ自ら望んで赴任されました。

N先生の家には、毎年夏にA君から絵が届くそうです。

A君はその後公立中高を経て、美大に進学しました。



お別れ会でのN先生の挨拶が思い浮かびます。

「A君の絵は、ユトリロの絵に似ているんですよ。

 みんなはもしかしたら、 見たこと無いかもしれない。

 ユトリロっていう、フランスの人でね、街や 風景をたくさん描いた人なんだけど。

 空が、綺麗なんだよ。

 A君は、その才能の代わりに、他の持ち物がみんなと比べて少ない。

 だけど、決して取り戻せない物ではないのです。

 そして、A君は それを一生懸命自分のものにしようしています。

 これは、簡単なことじゃありません」

A君は、空を描いた絵を送るそうです。

その空はN先生が作り方を教えた、美しいエメラルドグリーンだそうです。




↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓人はあの人だから…
とひがんでしまいがちですが、A君のように足りない物を一生懸命補えるように頑張り、得意なものを必死に伸ばす!!

僕も頑張ろうと思いましたグッド!