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~12年前~

その日は、凌の両親からドライブに誘われ片山家にレン一人、お邪魔してついていく事になっていた。

幼なじみの二人は何をするにも一緒だった。

とても楽しいドライブ・・・のハズだった。

その日の朝は見渡す限り青空の広がる見事な快晴だったが

夕方になると雲行きが怪しくなり嵐が訪れた。


「仕方ない、近道で帰ろうか」


凌の父がそう言うと反論する者はなく

山間の道から海岸線へと進路を変えた。



左は断崖絶壁。

右はオーシャンビュー。


といえば聞こえはいいが嵐に荒れた海と

押しつぶされそうな壁。

一刻も早くここを抜けたい、そんな気持ちにさせる景色。


「レンちゃん、※※※#$%&※※※~」


隣にいた凌が無邪気に言う。


「ウンウン!絶対だよ」


レンも笑顔で応える。


次の瞬間、地響きと共に車が大きく揺れだした。

崩落する壁に一瞬で飲まれ、息をつく間もなく

一同は海へと沈む。



凌の両親は二人の目の前で崩落した岩の直撃を受け

目も当てられない状況。

凌は必死にレンをかばい、なんとか海岸まで逃げ延びていた。



残された二人。


なんとか家まで帰り着いたものの

惨劇を目の当たりにしてしまったレンは記憶をなくしてしまい

事故直後に家族と引っ越していった。


凌は孤児として施設に引き取られ

現実から逃げるように記憶を封じ込めた。



~現在~


凌は二人の過去を話し終えると頭を抱え込んだ。


「ずっと忘れてた。抑え込んでた記憶が戻ってきたんだ。

あの時、何かを約束したんだけど

でも、それがなんだったのか思い出せない・・・。」


私にはとても信じられない話だった。

確かに私には小さい頃の記憶がない。

でも・・・。だからって・・・。


(出会ったのは奇跡じゃなく必然の再会?)


過去を必死に探す私の視界は光に包まれた。





【つづく】