自由主義経済は破綻!?
 「ベルリンの壁」崩壊から30年が経つというから、中高生のみなさんには何のことかわからないだろう。当時はドイツは東西に分断され、首都ベルリンも壁で西側(西ドイツ)と東側(東ドイツ)隔てられていた。世界的にみてもアメリカに代表される自由主義経済の国とソヴィエト連邦に代表される社会主義経済の国が競争・反目し合っていた。「冷戦時代」という。
 しかし、自由化の波が東ドイツで大きくなり、ベルリンを東西に分断していた壁が市民によって壊され、ドイツが以前の一つの国として統一された。これをきっかけに東ヨーロッパと言われた社会主義国で次々に革命が起き、自由化の波が一気に拡大し、ついにソ連も解体されて、ロシアと併合されていた国が独立した。
 これらの劇的な流れのなかで、社会主義は自由主義に敗北したという認識を持った人がほとんどだったと思う。しかし、今になってみると自由主義経済(資本主義)も行き詰まっている。資本主義経済そのものが崩壊を迎える時がくるのではないだろうか。前にも言ったが、少数のエリート起業家が世界の富を独占している。最近目にした記事によると、世界の二十数人の金持ちの資産が、世界の貧しい人たち25億人だったか、35億人だったかの資産の合計と同じだとあった。自由という看板の下にそんなことが許されているわけだ。
 これも昔話だが、日本のIT企業家のはしりで、ファンドをつくって株を操作して大もうけをたくらんだあげく、不正をしてつかまった若者がテレビのインタビューで「金儲けって悪いことなんですか」と答えていたのを思い出した。そうなんだよ、何も生産せず、働かず、インターネットを使ってPCの上だけでお金を右から左へ動かすだけで金儲けができる。子どもだってできる。だから、今の日本政府は国をあげてこれを奨励している。年寄りのタンス預金を引き出して、「みんな投資してお金を儲けよう」という政策だ。それで景気をよくしようと必死だ。何かおかしいと思うのは私だけだろうか?
 法に触れなければどんなことをして金儲けができる自由。世界規模で同時に起きているわけだから、法の整備も追いつかない。次々に新しい金儲けの手段が発明される。もちろん取り締まる法律などない。「やったもん勝ち」だ。仮想通貨など、いい例だと思う。世界中のヤバイ金がここへ群がる。世界中を転々と移動し、結局行方知らずになる。通貨の価値は上がるし、裏社会の人たちもにんまりだ。
 政治の話をしようと思っていたのに、また未来社会の不安を煽るだけになってしまった。