今日は、私の好きな人物の話をさせて頂きます。 皆さんは、ジャック・マイヨールというフリーダイバーをご存知ですか?フリーダイバーとは、競技方法はいくつかありますが、何メートルまで潜ることができるか競うダイバーで、ボンベは使いません。自身の一息だけで潜ります。マイヨールは、その神とも言える人物なのです。「グランブルー」と言う、映画化もされています。

 1960年代の科学者達は、潜水時間3分、水浸40m以上潜ることは、生理学的に無理であると言ってました。マイヨールは1966年に60m達成し、1976年には前人未踏の100mまで達成したのです。身体の構造上、水圧にも耐えられないと言われてました。また、潜るために呼吸を4分近く止めていなければなりません。ちなみに、脳は9分以上酸素がいかなと、致命的なダメージを受けます。

 マイヨールが偉業を達成した背景に、幾つかの要因があります。

 

(イルカとの出会い)

 実は、マイユールと海との係わりは日本が深く関係します。子供のころから千葉の海を訪れていたのですが、ある日海で潜っていると、視界にサメの様な大きな影が映りました。びっくりしたマイヨールは慌てて水面にでると、そこにはサメではなく、イルカの姿があったのです。これがイルカとの出会いです。後に、マイアミ水族館で働いているとき、クラウンというイルカと出会います。ルールを破り、毎晩マイヨールはクラウンとプールで泳ぎました。泳いだと言うより、クラウンに泳ぎを教わったのです。人間は、胎児の時に羊水という水の中にいた人間が、母親の身体から出て肺で呼吸をするようになり、水との縁が切れてしまうのです。それを、クラウンが再びマイヨールに本来の人間の持つ力を教えてくれたのです。

 

(禅とヨガ)

 次に、呼吸です。先ほど8分近く息を止めると言いました。息を止め、限りなく深いブルーの海へ潜ると、酸欠になって行きます。実は、その時に一番酸素を消費するのが脳なのです。恐怖心が起こると、一気に脳が酸素を消費してしまします。心を落ち着かせ、恐怖心が起こらないようにするため、マイヨールは日本に着た際、お寺で禅を行い、”無”の境地の悟りを開いたのです。

 そして、潜る寸前に大量の酸素を肺に送るため、ヨガを習得しました。潜る寸前まで、ヨガによる呼吸法を行います。横隔膜を上下させて肺を圧迫し、大量の酸素が肺に入り込むようにし、脾臓をも圧迫して大量の赤血球を放出させるようにしたのです。

 これにより、潜る際に恐怖心が起きなくなり、大量の酸素が体内に供給され、前人未踏の記録を達成できたのです。また、マイヨールは無償で科学にも貢献しました。学者は、マイヨールの体に何が起こっているのか調べたいわけです。マイヨールは、アンデス山脈の海抜4650mにあるハクラクカ湖で心電図を担いで、水深50mまで何回も潜り、また上大静脈にカテーテルを入れたまま潜り、静脈血を採取したりしました。ちなみに、その際、血管に細菌が入り8カ月間もひどい静脈炎になったそうです。

 科学の為に、自分の体を犠牲にして貢献(奉仕)したです。晩年、一線を引退したのちうつ病になり、2001年12月22日エルバ島の自宅にて自殺し、生涯を閉じた。自殺の理由は不明。

 

最後に、マイヨールの言葉を書き添えさせて頂きます。

 

「深海の、果てしない青一色の世界の静粛に包まれてだた一人となるとき、時間と空間と光はひとつのものとなり、私は私の呼吸を一時止めて宇宙の呼吸に身を委ねる。その時私は両棲人間という私の真の本性と再会し、ひとつの”宇宙の歯車”に再び還っている自分を発見する。」           

                         ジャック・マイヨール

キーワード

1.過換気

2.ヨガ

3.禅

4.ブラッドシフト

5.水に溶け込む

 

 

 

 

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