ブログのペタ記録を見て、記事名『FC3C 整備書入手』からの女性のペタが多いことにびっくり!
この記事のどこに女性が引っかかるキーワードが入っているのか?
と思ったのですが、なんだトップページに表示されている記事だからそういう記録になっただけだったんだとちょっと考えて理解できました。
さて。
で、その際このブログを見てくれるきっかけになった検索キーワードに多いものを初めて知りました。
それは『カーボンボンネットの危険性』です。
検索者の知りたいことは、
「カーボンボンネットに交換して大丈夫か?」
ということだと思います。
では大丈夫でないとしたらいったい何が駄目なのでしょうか。
そもそもカーボンボンネットに交換するその意図は?
せっかくですからその辺を書いていきたいと思います。
まずカーボンボンネットに交換するその理由。
まず見た目のカッコ良さ。
そして軽いことじゃないかと思います。
また純正同形状ではなくダクトが付いていてエアを吸いやすくしたり、排出しやすくしたりという純正には無い工夫があるものも存在するからというのも交換する理由だと思います。
では、そのようなカーボンボンネットに交換した場合、危険は無いのかということですね。
知っての通り、車はメーカーの工場から出た時が一番バランスが取れている状態です。
そこに後から何らかの部品を付け足したり、外した、もしくは交換したりするということは、そのバランスを崩すことになります。
たとえば、どこか一つを純正よりももっと丈夫なパーツに交換したとします。
純正よりコストがかかっていて強化されたパーツはメリットしかないだろうと思ってしまいますが、交換した部分が強くなることで相対的に他の部分が弱いということになってしまいます。
そのせいで弱い部分に負担がかかるようになるのです。
で、結局他の部分も順番に強化していかなければならない。
その作業こそがチューニングなのです。
一通り強化し終えたとしても、ボディや車自体の設計は元々そういう仕様で考えられてはいないわけですから、なんの保証もありませんし、それが良い状態であるのかすらわかりません。
さらに構造上どうしても手が入れらない、やり残した部分があれば、そこがウィークポイントになります。
そんなことをするよりもチューニングにかかった費用で更にランクが上の車種を買った方がいいという結論に至ります。
だからチューニングとは不毛な行為だと言われるのです。
けれど人と違った車にしたい(ドレスアップ)とか、愛車をもっと早くしたいという気持ちを持つのは車好きなら自然なことなので、そういう思いをまったく否定することもできない訳です。
前置きが長くなりました。
で、カーボンボンネットは危険かどうかということですが、開発に長い年月を費やし、何度も何台も衝突実験を行って一定基準の安全性を確保した純正ボンネットに比べれば、そんなことをするはずも無い社外ボンネットでは当然安全性にリスクは付きます。
それもわかっているって?
ええ、だからこそ調べてるわけですよね。
それを理解していただいた上で本題に入ります。
(やっとかよ!)まず純正ボンネットですが、これはコストの制約上仕方なくただのスチールなどの金属で作られたというわけじゃないのです。
純正ボンネットは正面から衝突したときに初めてそのすばらしさを理解できます。
何がすごいって、ぶつかるとクルクルと丸まるようにできているのです。
そうなんですよ。
ボンネットを開けて裏を良く見てください。
どんなボンネットにも裏側には、縦横斜めに補強のため太くなっている骨格のような部分があるかと思います。
でも良く見ると車の前後方向の補強は、前から後ろまで一本で通っているわけじゃなく、途中何箇所かで途切れています。
そう、あえて弱い部分を作っているのです。
この途切れのおかげで、衝突時ボンネットが内巻き状になります。
内巻きにすることで、第一衝突後にも視界を妨げないので続く衝突を避ける回避操作がしやすいのです。
そして一番大事なことですが、ボンネットが衝突の勢いでそのままスライドしてフロントガラスを突き破り、乗員の首めがけて飛んでくることが無いということ。
そうなんです。
さらに乗員そのために大事なことはボンネットの構造ともう一つ、取り付け部分の強さです。
ここが壊れたり外れたりしたら、ボンネットがそのまま飛んできてあっという間にギロチン状態です。
だから、エンジンルームの熱気を逃がすためとかの理由でワッシャーをかませてボンネットを浮かしているような状態はきわめて危険です。
取り付けネジのかかりが浅くて衝撃に耐えられなかったら、ボンネットが丸まる前に外れるでしょう。
ボンネットってただの蓋じゃないんです。
さらに、もし人を跳ね上げてしまったら、できる限りその人を傷つけないように衝撃を吸収するような表面のつくりになっているものもあります。
ならば純正同形状でFRPやカーボンボンネットを作ればいいんじゃないかと思うかもしれませんが、仮に裏側まで同形状にしたところで材質の特性がまったく違いますから、衝突時に純正同等の効果は期待できません。
カーボンは丸まらずに割れますから、補強を弱くしてある部分からパキパキと割れて何枚かになってしまうとか、取り付け部分が割れて外れ、運転席に向かってスライドしてくるということも考えられます。
それが一番怖いです。
金属のボンネットなら割れることは無いですが、割れた破片で乗員だけではなく、外部の人も怪我をする恐れもあるでしょう。
また、事故にあわなくても、走行中に取り付け部分が割れてしまい、ボンネットが外れるというトラブルも結構耳にします。
それとカーボンは丈夫って聞きますが、社外品のカーボン製品は決して丈夫じゃありません。
丈夫さだけなら純正品に叶いません。
カーボンと一口に言いますが、一般的な社外品のカーボン製品はウエットカーボンといいます。
これは早い話FRPにペラペラのカーボンのシートを貼り付けたようなものです。
もっというとそのカーボンシート自体はホームセンターで敷物や養生などに使うブルーシートの一番薄いやつとほぼ同等と思って良いです。
それでも何層にも重ねれば強度も出るかもしれませんが、大抵は表面だけだったり、そんな感じです。
だから強度はFRPとそんなに変わらないでしょう。
F1やハイテク製品でいうカーボンというのはドライカーボンといって、重ねたカーボンを窯で焼いて固めています。
それは軽さや強度、そして値段が全然違います。
一部の車種では社外パーツにもドライカーボン製品があります。
それはボンネット一枚30万円以上とウェットカーボンに比べて何倍もするものです。
それならばある程度強度が出せていると思いますが、だから安全かと言うと決してそうとは限りません。
また、レースやハイテク機器だとカーボンだけじゃなく他の素材との複合素材(コンポジット)であったりすることが多く、それにより強度や軽さ耐久性を出しています。
ちなみにウエットカーボンの社外ボンネットと、純正品のボンネット一枚の金額を比べたらおそらく純正品のほうが高いと思います。
それは吹っかけているということではなく、本当にそれだけコストがかかっている品物というわけです。
以上のことを理解して、それでもカーボンボンネットを取り付けたいならば。
取り付ける際のポイントを説明します。
今ウエットカーボンのボンネットに交換した車がうちに3台ありますのでそれで説明します。
まず、前側の留め方ですが、純正のストライカー(ボンネットキャッチ)が使える形状のボンネットを選び、さらに左右2点ボンネットピンで固定しています。
後ろ側の取り付けヒンジ部分は絶対に浮かしたりせず、取り付けボルトをきっちりと締めこみます。
それだけ?
ええ、それだけ。
後は、事故にあわないことですかね。
事故にあってもスピードが遅ければ被害は少ないので、安全運転を心掛けるということも大切ですね。