初めて自分のアルバイトしたお金で買ったものが、ぼくはウサギさん。

3000円。

何となくペットショップに入っていろんな動物を見ていたらウサギさんがセール品になってた。

少し大きくなっていて、抱っこされるのも慣れてなくて店員さんが持ち上げようとすると暴れまくるウサギさんだらけだった。

小さなカゴにパンパンにウサギさんが詰まっている中から選んだんだけれど、一番目つきが悪くて売れ残るだろうなっていう子を選んだよ。

名前は、べんぞう。

ウサギさんは、視力が悪いことを知ってキテレツ大百科のべんぞうさんみたいだなって思ったからそう名付けたんだ。

ぼくはお誕生日とか年齢とか数字を覚えるのが苦手だから、買った日がエイプリルフールで本当に良かったよ。

4月1日を見ても何も思わないんだけど、エイプリルフールって聞くとウサギさんを思い出すくらいだから。

ぼくのおうちに来た時は、まだ尻尾が小さくて毛玉みたいで、お母さんが勘違いして引っ張っちゃって、ものすごい跳び上がったのを覚えてる。

尻尾を掴まれてたから前に跳ぶ勢いを奪われて、地面に対して垂直に跳び上がったよ。

トイレに行ってる間に段ボールから跳び出して、ビデオのリモコンの録画と巻き戻しのボタンをかじり取られちゃった。

そんな初日から始まって、天国に行ってしまうまで7年間。

ずっとかわいかった。

懐かなかったけど。

小屋から出すといつも、ぼくが履いていた3本線のジャージの線をずっとかじってた。

横になれば髪の毛をかじりにくる。

べんぞうが天国に行ってからしばらくして、それがウサギさんなりの愛情表現ってネットで知ったとき嬉しくて泣いたなあ。

もう少しネットの普及が早ければ、知識をたくさん収集できてべんぞうを幸せにできたかもなあって思ったよ。