『少女は森からやってきた』

著:小手鞠るい

出版社:PHP研究所

発行日:2019.1.8

頁:160p

対象:高学年から

 

著書紹介

1956年岡山県生まれ

「海燕」1993年新人文学賞

「欲しいのは あなただけ」2005年で島清恋愛文学賞

「ルウとリンデン旅とおるすばん」2009年でボローニャ国際児童図書賞 受賞

「詩とメルヘン」の編集長を務めいたやなせたかしに見いだされ,詩集『愛する人にうたいたい』1980年詩人として出発

現在ニューヨーク州ウッドストック在住

 

 

出版社より内容紹介

小学6年生の美幸は、みんなと一緒に行動することが苦手で、いつも本ばかり読んでいた。

仲良しの友だちもいないし、特にほしいとも思わない。

本の中には友だちがいて、その友だちは人を傷つけたり、悪口をいったり、いじめたりしないから……。
ある日、美幸のクラスに、アメリカの小学校から転校してきた少女、エリカがやってきた。

エリカは、森に囲まれた小さな村で暮らしていたが、両親の離婚によってお母さんと一緒に日本で暮らすことになった。
数日後、漢字が苦手なエリカと、算数が苦手な美幸は、自習の時間にこっそりプリントを交換して、お互いのプリントを終わらせることに成功。

髪の毛の色も、得意な科目も、性格も、生まれた場所もちがう二人だったが、その日を境に距離が縮まっていく。
美幸は、「新しい発見」というテーマの作文に、エリカのことを書くことを決めた。

美幸にとって、新しい発見はエリカという友だちだった。ところが……。

 

目次

プロローグ・・世界中の子どもたちへ

転校生がやってきた

雨の妖精とかたつむり

ふたりぼっち

新しい発見

こじかの反乱とかたつむりの革命

物語の香り

美しいアルバム

行ってらっしゃいとさようなら

木の葉に「LOVE(ラブ)」をのせて

エピローグ・・・ある日、返事が届く

 

感想

現在図書館司書をしている美幸が、ある女の子を見たことにより、子供のころ出会った少女エリカを思い出し物語は始まる。

 

エリカは、ハーフの女の子。

数学が苦手な美幸と国語(漢字)が苦手なエリカが図書室で補習をすることから、二人の中は親しくなる。

今まで、独りぼっちだと思っていた美幸だったが、友達となる。

エリカは、美幸が文を書くのが好きと聞き、作文ノートをプレゼントする。

そこに美幸は、こじかとかたつむりの物語を書き始めます。

本の中では、すべてひらがなで書かれています。

美幸とエリカを思わせる物語です。

 

ある日、事件が起こります。

作文を書いてきたのにそれが見当たりません。

朝、カバンに入れてきたはずなのに。

美幸は、忘れたことにしておきましたが、エリカは違っていました。

 

エリカは、全員の前で言います。

「忘れ物をしたので教室に戻ったら、美幸のカバンから作文のような物を取った人を見た。」

と。

勇気ある発言です。

先生は、エリカの勇気ある発言と名前を伏せた気遣いの発言を称えました。

アメリカ育ちだからこそ発言出来たのでしょうかvv

取った人を見ているので、名前を挙げることも出来るが、あえて名前を伏せた事の配慮も素晴らしいです。大人でもこうした配慮って難しそうです。

 

最後は、エリカは、父親のいるアメリカへ帰ってしまいます。

手紙のやり取りをしていましたが、ある日から返事が届かなくなりました。

 

やっと届いた手紙が日本にいるお母さんからだったので、ビックリしました。

が・・

心配には、及びませんでした。

 

でも、この流れって、必要だったのか?

 

作者は、色々な国籍の子が各クラスにいる時代になった現在、その子たちにも思いをはせ、

また、まだまだクラスで孤立している人が多い今、その子たちをも応援しているように感じました。

 

本を読むことは、孤独を忘れさせ、まだ見ぬ世界や感情を知ることにもなります。

本が好きだっただろう作者も想像できました。

 

さらさらと読めます。