『海の見える理髪店』

作者:荻原浩
出版社:集英社
発行日:2016.3.25

第155回 直木賞受賞作

著者略歴
1956年埼玉県生まれ
コピーライターを経て、1997年「オロロ畑でつかめて」で第10回小説すばる新人賞受賞
2005年「明日野記憶」で第18回山本周五郎賞
2014年「二千七百の夏と冬」第5回山田風太郎賞受賞

内容
主の腕に惚れた大物俳優や政財界の名士が通いつめた伝説の床屋。
ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた僕と店主との特別な時間が始まる「海の見える理髪店」。


意識を押しつける画家の母から必死に逃れて十六年。理由あって懐かしい町に帰った私と母との思いもよらない再会を描く「いつか来た道」。


仕事ばかりの夫と口うるさい義母に反発。
子連れで実家に帰った祥子のもとに、その晩から不思議なメールが届き始める「遠くから来た手紙」。 


親の離婚で母の実家に連れられてきた茜は、家出をして海を目指す「空は今日もスカイ」。

父の形見を修理するために足を運んだ時計屋で、忘れていた父との思い出の断片が次々によみがえる「時のない時計」。

数年前に中学生の娘が急逝。悲嘆に暮れる日々を過ごしてきた夫婦が娘に代わり、成人式に替え玉出席しようと奮闘する「成人式」。

人生の可笑しさと切なさが沁みる、大人のための“泣ける"短編集。
感想
『海の見える理髪店』
直木賞受賞作品と言うことで予約しました。
短編集とは思いませんでした。
勝手に舞台を北海道にしちゃいましたが、違いました(爆)

読み進めていくうちに、ハッと気が付きます。
お互い名乗らず、でも、心は通じていますね。

人生、色々あります。一生懸命生きていても、魔が差して犯罪を犯してしまうこともあります。
毎日悔いながらの生活。

いつもは、きっとこんな話は、しないのでしょうが、伝えたかったのでしょうね。
お互いに良かったと思います。

心がじんわりするお話でした。

『いつか来た道』
母娘の確執の物語。
認知症になる前に、和解できたら良かったけど、人生 上手くいきませんね。

『遠くから来た手紙』
これ、良かったです。
まだ若い夫婦のお話です。
夫婦ですから、色々ありますね。
喧嘩をして実家に戻って来たものの・・・・
ファンタジーですね。

『空は今日もスカイ』
これは、ちょっと頭に入ってこなくて・・・

『時のない時計』
時計屋の主人の話も辛いです。
あの時に戻れたら・・・
どんなに良いでしょう。でも、過ぎてしまったことは、元に戻せません。
償うしか無いですね。
切ない話でした。

『成人式』
これも辛い。
前半は、辛かった。
ダイレクトメールの無神経さに腹立たしくなります。
亡くなった娘への成人式の着物のメールです。

ダイレクトメールへの警告かと思ったら、展開がビックリ!

でも、これで乗り越えられるかなvv
娘の同級生たちも実は深い傷があるのですよねvv