My Special Friend


マレー人の身体がとても美しかった。日本では見ることがなかった。Monoというニックネームの彼は、男性らしさを集結した男だと思っていた。陸上で他の追随を許さない運動神経も、ハンサムとは言い難い熱帯を代表する顔もステージ上のDashingポーズも、すべてが男性そのものを表現していると思っていた。

Carrier Modelsといえば、その国では数少ない、レベルの高いモデルが所属するAgencyだ。エアラインの同時期入社のスチュワードで、トレーニングでよく顔をあわせた。
彼がバイセクシャルだという噂を聞いた時 私は その真逆のイメージを信用するどころか、笑い飛ばし、なぜ そんな噂があるのか、不思議な気もちがした。
今なら あの独特の感性が、特有のセクシュアリティから来ているのが理解できる。 

Monoには、ブラザーと呼んでいる弟分のハムがいた。ハムと一緒に家に来る、と主張しているのが 私には なぜかわからなかった。ハムに 兄貴分として 女の子のテイスティングをさせたかったのだ。

ハムのきれいな顔を見ながら なんで こんな子が未だ経験がないのかが不思議だった。
私には嫌悪感がなかった。ハムには純粋さと清潔感があったから。
でも 上手くできずに とても落ち込んでいる様子を見てから、なんとなく 惹かれるものがあった。
【You are my special friend.】なんとなくいとおしい気持ちから出た、私の言葉。【Special friend ・・・】ハムは、その言葉を繰り返していた。
ハムが国内の短距離で1位になったのを夜のニュースで見た。TV番組マガジン“8Days”のインタビュー記事を目にした。記事のコメントには、こう書いてあった。 
He said,【 I would like to keep impressing my special friend・・・】
スペシャルフレンドを感動させ続けたい・・・

3人の世間でいうところの下品な一夜は 私にとって、純粋さを感じる大切な一夜だったんだ。