ぽつぽつと 田んぼの畦に咲いていた「彼岸花」
彼岸もあけたというのに
昨日からの雨で いっきに咲きほこった
「彼岸花」
幼い頃 誰が吹き込んだのか
摘んで差し出した私の手から叩き落とし
怖い顔で叱られた
「その花は摘むと死人が出るよ」
「家に持ち帰ると火事になるから」
球根にアルカロイド系の毒を有することから
忌み嫌われたのだろうか
地の底から 突然赤い手を差し出すように
花だけが すくっと咲く
その有り体に恐れをなしたのか
その結果が
この歳になっても
「死」や「不吉」を呼び起こす「花」になってしまった
私があの花を摘んだから
母は私の前から消えて亡くなってしまったのだろうか
「彼岸花」には 花言葉どおりの「悲しい思い出」しかない
別名の「曼珠沙華」
サンスクリット語で manjusaka
仏教用語で「天界に咲く花」と言う意味だという
おめでたい事が起こる兆しに 赤い花が天から降ってくるのだそうだ
二つの異名を持つこの花は
「リコリス」というもう一つの顔を持つようになった
白やピンクや色とりどりの花を「幸せの花」として
庭に植え付けておられる
若い人たちに受け入れられるようになり
花にとっても「幸せ」であろう
いつまでも
過去のトラウマにしがみついていてはいけないよ と
紅い花が 燃え尽きるように
田んぼの畦で揺れている
学生の頃
深夜ラジオ で聴いた曲
そういえば こんな歌もあったんだと
今 思い出した・・・



