エンタメとしてVR技術が浸透してきた昨今。

いまいちばん推してる薬理凶室の動画のひとつで幻覚体験の話題があり、思い出したのが医療系VRでの体験。


精神科の学会や研修に参加すると、企業展示として統合失調症や認知症の症状を疑似体験できるブースがあったりするのです。


患者さんがどんな体験をしているのか。

どういう世界にいるのか。


どんなに言葉で説明されてもピンとこないところを、VRゴーグルを装着することで視覚と聴覚を通して体験できるシステムです。 

VR技術によって、病的体験の理解を手助けしてくれるという。


統合失調症verを体験したのはかなり昔なのですが、いまだにそこだけ鮮明です。


医者と面談しているシチュエーションでスタートするのに、相手の声が歪み、どんどん悪魔のような姿に変わり、別のところからひどい言葉がかぶさってきて。


さらにぐにゃぐにゃした視界には虫とか化け物とか得体の知れないものとかがどんどん増えて。


まともに相手を見ることもできなければ、言葉もまともに聞こえなくなります。


明らかなアニメーションなので私自身が現実と混同するとかはないんですけど、『感覚が侵食される』というのは伝わりました。


患者さんがこんな体験の真っ只中に放り込まれてるとしたら、日常の脅かされようは想像を絶します。


幻覚妄想体験は、その内容がたとえどれほど荒唐無稽でも、本人にとっては現実なんですよね。

どれほど事実とかけ離れていようとも、どれほど周囲が否定しようとも、本人にとっては訂正しようがない現実。

空想と妄想の違い(線引き)がここにあります。


そのうえ、統合失調症という病気には、自我の境界線の脆弱性が見られます。

「自分は自分」「他人と自分は別のもの」として自分の形を保つ力が弱い。


いろんなことを総合してくと、なんというかもう、そりゃあ外に出るのも怖くなります。

物理的に世界と自分を隔てるものを必死に守ろうとするだろうな、と。


自分が知らないことを想像するのは難しいです。

ましてそれが病的体験と呼ばれるものなら尚更。

でもVRという擬似的体験を通して、相手を知る機会を得られる貴重なツールだと思えたのでした。