■三つの額縁

■演:805、脚本:最上怜香、演出: 最上怜香・山口健太


額縁に彩られた3人の女性たちの3つのオムニバス。

ワンシチュエーションで、舞台装置も最小限。

その中で繰り広げられる会話劇は、シンプルだからこそ魅せる演技力が必須なのだと分かります。

声が、表情が、仕草が、視線が、リアルに、雄弁に、目の前で物語を構築していく。

小さなスタジオはまるで誰かの部屋に招かれたかのようで、同時に、額で縁取られ切り取られた向こう側の世界を覗き見ているかのようで。

面白い空間で面白い体験ができました。



【01】ドライヒューマン

友達の家で、お土産のドーナツでティータイム。

額縁の中には、ハッと目を引く逆さまの蓮。

交わされるのは、「言わなければよかったのかな」という繰り返しの後悔。

言葉は時に意図せず凶器になったりもするけれど、でもそれは不可抗力に近しい最悪のタイミングの果てだったりもして。


誰がいいとか悪いとか、どうするのが正解だったのかとか、きっと本人にすらわかんないことばかりなんだよな、と思いつつ。

友達を傷つけたと悩む彼女にも、その話を聞く彼女にも、伝えたいことが溢れそうになります。


心を扱うのは難しい。

職業病がそわそわと顔を出してしまった1話目。


ところで、「買っちゃった」と紹介された逆さまの蓮、あれって、水面に映った姿と解釈しても良いのでしょうか?

なんとなく、『水面を覗き込むように自分の心をながめているみたい』などと感じたのでした。

自問自答の一作。



【02】色見草

主婦、会社員、画家のそれぞれの日常、それぞれの孤独。

黒い服に黒いマスク、黒い椅子、色のない繰り返しの日々が、まるで散文詩のようにぐるぐると語られるなかで、真っ赤な椅子がひとつだけ。

額縁の切り絵も、ぐるぐる円となって回る黒い金魚の中で真っ赤な金魚が1匹だけ。

色のない日常の中の、鮮烈な非日常的演出がとても面白くて、意味深で。

緋色の椅子に腰掛けて、寄り添い、三人で一つになったあの一瞬がたまらなく絵になっていて、『ああ、あの瞬間をカメラに収めたかった』と、強く後悔するほどに網膜に焼きつき、どうしようもなく刺さったのでした。



【03】未来の確変

小学生時代からの友人、そして1年ぶりの再会。

変わったり変わらなかったりしながら、驚くほどテンポ良く、明るく、可愛らしく、小気味よく会話のラリーは続く。

チリチリとした痛みはなくて、じりじりとした辛さもなくて、ただひたすらに、「あるある」「わかる」と頷きながら、彼女たちの悩みや素敵な報告や考え方に触れていける時間が愛おしい。

占いへの考え方も、好き。

依存するんじゃなくて、ラッキーカラーで自分の気分を上げるとか、そんな素敵な存在って思えるのがほどよい。

なのに、これが後々効いてきちゃうから、たまんないです。

笑いました。

気持ちよく楽しくなって、切り絵の「国士無双」に「きてる!」感も小気味いいです。


それはさておき、演者さんの内側から弾けるような天然の(天性の?)面白さはちょっとずるい。


どの話も改めて味わい深かったです。

最上怜香さん、畠山真波さん、岩杉夏さん、それぞれの個性的な役者さんたちの、三者三様の演技に、そしてチラリと姿を現すウェイター役の山口健太さんのその身のこなしに感嘆のため息をつくのでした。