■脚本・演出:森崎博之


北海道にある恵織村。

限界を迎え、消えゆく運命にある小さな山里。

そこでひとり神木を守り続けた五作と交流を持った四人の小学生が、時を経て、彼のために祭りをしようと画策するがーー



NACS森崎博之が脚本演出をつとめ、札幌の劇団から客演として坂口紅羽さんを迎え、オフィスキューからは会長鈴井貴之とNORDの3人が舞台に上がります。


かつてTEAM NACSが演じたHONORが、札幌演劇シーズンのために再構築され、新キャストにより再演。

当時、客演なしのNACS5人で一人二役以上をこなしていたためか、今回も役者陣は6人固定。

だからこそ、世代という見えないものが可視化されてるように感じられるんです。

血縁関係やつながりの濃さや強さ、恵織村という『狭い世界』での出来事として伝わる。


もしかすると元は苦肉の策ともいえる偶然の産物だったかもしれないけど。

コメディ的な笑いを取りながらも秀逸な繋がりをも表すこれが、演出として好きなとこです。


だからこそ、誰がどの役になるのか、すごく楽しみにしながらの初日初回公演。


冒頭からすでに予想通りだったり、新解釈に驚いたりで楽しくなってました。

演出の上でも、「あれがこうなるのか」「ここでコレをするのか!」と驚きもいっぱい。

エピソードの追加もあり、より視覚的にも心情的にも彼らの想いや繋がりが伝わってきます。


村の祭りという軸を五作という1人の男の人生とともに、関係性を丁寧に紡がれていくことで見える世界に惹かれてなりません。

描かれるのは「人間」であり、「繋げられた想い」であり、「約束」であり。


舞台は合併間近の恵織村という小さな集落。

そこで紡がれるのは、一人の男の切ない程の願いと想いを軸とした物語。

時代の背景に戦争が置かれ、痛みを伴いつつも時に笑いを誘い、『変わらないこと』の意味を考えさせられる物語。


観客としてこの作品と18年ぶりの再会を果たしたのですが、同時に新たな門出として迎えたような、不思議な観劇体験となりました。



以下は、いくつかのネタバレも含めた感想を。



舟木くんが花男役なのは予想通り!

役者としても師弟関係にあると思ってる彼と会長鈴井貴之との絡みが実際の距離感として絶妙なのです。

年齢もキャリアも違う二人から生まれるす空気感は、同世代であり対等とも言える安田ー戸次組とはまた違う関係性に見えて、そこも堪能しました。


ちなみに、舟木くんの女装がいいのですよ。

女性役じゃなくて、女装。

オカマバーで働いてるという「都会に出て変わった幼馴染」の姿として機能させてるところと、その説得力としての立ち振る舞いが上手いのです。


そして、今回の再演では幼馴染組に女の子がいる。

そして彼女はマドンナじゃなく、まさしく対等な腹を割って話せる幼馴染なんです。

そのスカッとした気持ちの良さは、紅羽さんの存在感として光ってます。

だからこそ、劇中で「花ちゃん」と女友達として振る舞える。


寺の息子役に安保くんなのも納得の配役というか、みんなのために一生懸命で、ツッコミ役で、でも微妙に空回ってるとこも含めて、こちらも見てて気持ちいい!

うまいなぁというか、場の雰囲気を優しくしてくれる、ムードメーカー的な立ち回りが素敵でした。


瀧原くんの洸太も、からりとした軽やかさを持ちながら、要所要所できらりと光って笑いや話題をさらってくのがいい!

心情的に湿度が高くなりそうなところに、ずっと風を通してくれるような役割が良きです。

幼馴染組の温度と湿度の管理が絶妙!


鈴井貴之はもう、言わずもがなの圧倒的な重厚感。

背中で語り、表情で語り、セリフがなくとも伝わる、伝えてくる。

丁寧に丁寧に積み上げられてきたもの、年月の重み、さまざまなものがそこに見えてくる、魅せられる。

ああ、この人が五作なんだと、真摯に受け止めている自分がいました。


ちえが、すごくちえです。

みんなのマドンナを、今回はリーダーが演じてますが、音尾さん同様に可憐なのですよ、くやしいけど「可愛い!」ってなっちゃう。

音尾さんとリーダーがやる女性は可愛い。

でもシゲの演じる女性には「男性が思う可憐さ」はない印象。

これは姉という存在がいるかどうかじゃないかと踏んでます。


黒板アートや模型といった小道具から始まり、本当に魅せてくれる舞台でした。

心に刺さり、反芻し、涙とともに胸に刻む、素敵な舞台でした。