■キネマ探偵カレイドミステリー[3]輪転不変のフォールアウト

■作:斜線堂有紀


消えたデロリアンのレプリカ、バイト先で起きた血のダイイングメッセージ、そして探偵がかつて巻き込まれた事件の真相ーー

連作短編の形を取りながら、軸となる名探偵の過去の事件が紐解かれていくキネマ探偵シリーズ完結編。


昨年の文学フリマでお迎えした「最後にして最初の探偵」に出てくる菱崖小鳩関連が気になり、まさかのシリーズ最終作から手を出してしまいました。


映画をこよなく愛する作者による、映画をこよなく愛する嗄井戸と助手を務める奈緒崎による『映画』にまつわる物語たち。

シリーズ3作目かつ完結編となっているので、それまでにいくつも重ねられてきた彼らの時間の先に用意されている「謎解き」が主軸。

青春ミステリーと呼ぶには幾分血の色が濃いけれど、ふたりの心の成長の描かれ方はそこに近しい印象なのです。


同時に、探偵と助手の関係性にも想いを馳せたくなります。

探偵と探偵助手(もしくは探偵の親友)として構築された関係性を心理描写メインでつづられているところに惹かれてしまうのです。


スナッフフィルムーーこれが作品のおけるキーアイテムに昇格し、そのうえ探偵は当事者として関わっている。


とある理由から部屋から出ることなく、持ち込まれる事件と一定の距離を保って解決する安楽探偵。

その探偵自身が、事件の中心に据えられたとき、彼のそばにいる人間はどういうスタンスを取るのか?

探偵に「犯した罪」が存在するという可能性を示唆されたとき、どう行動するのか?


変則的に結末を知っているが故の、そこへいたる過程と真相を知るために手にした物語。

あふれる作者の映画愛が、登場実物たちの価値観として盛り込まれ、表現され、対比され、着地する。


「映画」への熱量とともに、「作品」を創り上げるモノはどうあるべきかが問われているような。

そんな感覚となり、そして、映画史が抱える功罪に想いを馳せて。

不思議な読後感でいくばくかの寂寥とともに余韻に浸れる作品でした。