「デス・ステラですって!?なんておそろしい!」
婦人は心底悍ましいものを口にしたかのように震え、自分で自分を抱きしめるようにして、こちらを見やる。
報告を求めてきたのはそちらだろうに、なぜ私を睨むのか理解に苦しむ。
「よくもその名を口にできたものね」
それに、どうしてそんなにもあからさまな反応を見せることができるのだろう。
彼女のことを知っているなら、そう軽々しく口にできたりしないはずなのに。
『約束を違えたら……切っちゃうわよ』
わたしの記憶の中に蘇る、くつくつ喉を鳴らして微笑う妖艶なるシルエット。
漆黒の女帝が棲まう屋敷の中の閉じた豪奢な部屋に張り巡らされた無数の黒糸は、彼女が生み出す呪物だ。
彼女と約束を交わし、願いを叶えながらも対価の支払いを拒んだ男が1人、まるで蜘蛛の巣に囚われたかのような有様でそこにいる。
腕を、足を、胴を、頭を、無数の糸に絡め取られた憐れな獲物。
彼は私の目の前で斬首された。
血飛沫は赤のようにも黒のようにも見えて、実に鮮やかな断罪だったのに。
彼の方の名を口にした、あなたは間も無くーー