■君のクイズ

■作:小川哲


賞金一千万をかけて戦う『Q-1グランプリ』決勝戦。

『なぜ本庄絆は、問題を一文字も聞かずに正答できたのか?』

対戦相手であり、敗者となった三島玲央は、その問い(クイズ)の答えを探す。



映画化を機に、手にしてみました。

クイズ番組に出て、脅威の早押しで答えていく方々を見ていると、なんというか、ものすごいなと思うのです。

時間の流れが違うのか、どこか別の世界とアクセスしてるんじゃないのかと思ってしまう。

まるで彼ら彼女らが超能力者や魔法使いのように見えてしまう。


だからこそ、クイズの内側にいるものの視点から語られる「クイズとは何か」がとても興味深かったです。

なぜあのスピードで回答できるのかが言語化され、論理的に説明されることにも驚かされました。


しかも、構成と構造がまた巧妙なんですよね。


クイズを通して三島玲央の人生をなぞりながら、クイズプレイヤーとしての在り方も、そして「問題文を読み上げている途中でなぜ正解できるのか」も、過程が詳らかにされていく。


同時に、正答へと辿り着くための知識をいかにして手に入れたのか、それを知ることは、そのひとの人生を知ることと同義だとも気付かされるわけです。


思考と人生のトレース、クイズと人生を重ねていく過程において、この一人称視点はあまりにも有効で巧みで魅せられ、唸ってしまいました。

三島というクイズプレイヤーの解像度を上げていくのがあまりにもうまくて、ひたすら読み進めるのが楽しかったです。


なぜ、本庄はゼロ文字で回答できたのか。

彼は何者なのか。


ここには『謎』がある。

その謎と向き合い、たどり着いた答えははたして正答か誤答か。

そして、得られた答えをどう咀嚼し、自身のものにするのか。


ラストまで一気に読み、そして読み終えた後も考えさせられる作品でした。