■時かけ!?∞宇宙 NEO ハムレット

■演:劇団怪獣無法地帯


ハムレット公演中の劇団を襲う、突然の次元転移。

3人がリレー形式で一人一幕脚本&演出を手掛けるマルチバースドタバタSFコメディ開幕!



友人に誘われたのをきっかけに、今回で三度目の観劇となった怪獣無法地帯さんの第41回公演。

気持ちいいぐらいにドタバタ劇が展開してるんですが、すごいのは、むちゃくちゃに見せかけて物語にちゃんと縦軸が存在し、伏線回収までされるところです。

しかもストレスなく、ひたすら楽しく追いかけられるんですよ、このわちゃわちゃを。


『生きるべきか、死ぬべきか』


問題がそこに終始してくれていれば良かったのに、と言いたくなるほどにややこしくなっていく事態。

入り乱れる登場人物たち。

ハムレット公演中の劇団をおそった悲劇的な喜劇に終始笑いが止まりませんでした。

もう本当に、当事者にしてみたらたまったものじゃないけれど、観てる側からは完全に喜劇なんですよ。

隠し味に孤独や嫉妬や焦燥といったビターな感情をひと匙ずつ入れて深みを出しつつ、でも味わいは「楽しくおいしい」になる絶妙さ。


次元を飛び越えながらも、舞台の上でハムレットの物語は進む。

舞台の外でも、ハムレットを演じる劇団員の物語が進む。


手を変え品を変え、多重世界の差異を時に小さく、時に大胆に示しながら、一幕、二幕、三幕と、脚本家の切り替わりと同時に幕間をうまく活用して物語が進んでいく。


ここで観客側に混乱が生まれるかと言えば、そうではないという点がすごい。


役者の技量が存分に発揮され、演じる役は二転三転し、物語も二転三転し、でもちゃんとついていけちゃうのです。


衣装担当が次の次元では主演役者ハムレットとなり、ガートルードとオフィーリアは入れ変わり、過去公演の演目が変わり、そしてハムレットの大筋は変わらないのに世界観がズレていき……


何が起きてるのか分からないけど、何かが起こってることはわかる。

それをちゃんと把握している観測者的な存在も用意されてるから、観客側が置いていかれることもない。


なお、冒頭5分で、なんとシェイクスピアのハムレットを知らない人にも優しい「本来のハムレット」を人形劇で解説。

正しい流れを知って初めて理解できる面白さの部分をしっかり押さえてくれて、かつ、行き着く場所もどこに向かっているのかも理解できるので、物語の状況がどれほど錯綜しても本筋を追えちゃうのです。


なんてすてき!


舞台を劇場で生でリアルタイムで鑑賞するからこその演出にもうなりつつ。


笑いながら、どこかでじわりと切ない痛みが差し込まれたりもしながら、それでも進む舞台の幕引きまでがいっそ清々しいほどで。


目まぐるしいあれこれも、全てが臨場感に還元されていくので見応えバッチリ。

実に楽しく美味しく料理された3人脚本ハムレットでした!


劇団怪獣無法地帯 公式HP