タロットカードの物語
…*…血族へと示す己の宣誓…*…
理不尽に慣れてはいけない。
赦してはいけない。
王の間に呼びつけられた私の耳元で、半ば憤り、半ば諭すように、精霊たちが囁きかける。
王家の手によって建てられ、王家の血と魔力によって蒼穹に浮かぶこの城において、玉座に君臨する存在は絶対だ。
私はほのかな笑みを口元にたたえ、精霊たちへ声には出さずにひっそりと、飾らない言葉で伝える。
ありがとう。
でも大丈夫。
今日が最後にして最良の日。
天から地の獄へと堕とされながら自らここまで戻ってきた私に、血を分けたきょうだいへの、肉親としての情で揺らぐ心はない。
「この城に囚われたものたちを、あなたから解放して見せましょう」
まるで魔王に対峙する勇者のように告げる。
けれど本来の私はただの吟遊詩人だ。
歌い、伝え、人々に届けるこの声で、ただ人々の心を癒し楽しませるだけでよかったのに。
王族の地位などのぞみもしなかったのに。
大切な存在をまるでモノのように連れ去り、使い潰そうとするから、だから、私は精霊たちの力を借りて、すべての解放を宣言するためにここへ戻った。
悪しき鎖は、力ある言葉たちで織り上げた『剣』でもって断ち切ろう。
断罪の歌を、世界の核として君臨するこの存在に突き立てよう。
「さあ、罪の清算を」
この瞬間すらもいつか歴史の中で語られる一篇の物語となるのだと、そうなることを強く願いながら、私は血族が作り上げた澱みと穢れの物語を終わらせるため、最後の戦いを宣言した。
そして、世界は大きく揺らぐ。
了
◆タロットカード: XⅤ 悪魔
キーワード:決断、解放、再起、這い上がる
Copyright RIN
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