タロットカードで綴る物語

…*…灰色の楽園で愛を謳う…*…

 

花が咲く。
ふつりふつりと満ち足りて、愛を説き、愛を与えて花が咲く。
花が散る。
はらりはらりと優しげに、愛を囁き、愛を抱いて花が散る。
星の瞬き、オーロラの欠片、夕焼の残火、月の雫――銀灰色の美しい翼を持つ私の愛しい子供たちと集めた素敵なもので育てた花の園。
花吹雪が舞う境界の庭で、私は愛し子たちが戯れるのを眺めながら、遠い記憶の底でよこたわる『楽園』へと想いを馳せる。
かつては、魂を清め、送り出すあの場所を、神の支配するあの地を、自身の在るべき場所だと信じていた。
世界からあふれた救いを求める声のすべてに耳を塞ぎ、目を背け、ただ安寧を護るべく次元を超える扉さえも閉ざしてしまったあの楽園を、それでも自身の生まれた故郷ゆえに、いつか自分は帰りたいと願う日が来るのではないかと思っていた。

「さびしい?」「かなしい?」「ねえ、かあさま」「そばにいるよ」「だいすきだよ」

さっきまで遊んでいたというのに、あっという間に私を取り囲んできた子供たちのやわらかな笑顔にそっと指を伸ばし、撫でる。
帰りたいなんて、思うはずがなかった。

「みんなと創り上げたこの場所にみんなといられるのよ。それ以上の幸せがある?」

この子たちが孵化することを許さなかった偽りの楽園にどうして戻りたいと思えるだろう。
純白のみを神の祝福ととらえるあの場所に未練など欠片も残っていないのだ。
自分の心に背いて神に従うよりも、私はひとつ残らず大切なものを抱きしめて、ひとつたりとも取りこぼすことなく、愛を捧げ合うこの場所でなすべきことを成し、目指すべきところへ進むことを選んだ。
ただ純然たる愛を謳い、救いを求めるものたちに手を伸ばし、私は己の心に従って選択し続ける。
それが今はまだ道半ばだとしても、私はただ愛し子たちと前を向く。



◆タロットカード: Ⅵ 恋人たち
キーワード: 選択、成長、妥協しない、心の声に従って行動する


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