鉱石の囁きをカードに閉じ込める物語
ラブラドライトの囁き
旅に出ろと告げたのは、教会へ気まぐれに降りてくる口の悪い天使様だった。
併設された孤児院で子供たち相手に読み書きを教えていた私の額に、とん、と人差し指を置く。
かの方の瞳はグレーの中に青や翠、金の光がさざめき煌めいていて、吸い込まれそうなほどに美しいそこに確かな神の意志を視た。
「お前はこれから己の魂が真に望むもの、己のなすべきことをなせ」
突然の告知とともに、私の額には神の旅人たる徴が浮かぶ。
虹の橋を渡り、時の河すら越えることを赦された、運命の旅人として生きることを今この瞬間に定められたのだ。
子供達やシスターたちも皆が私を祝福してくれるなか、私は、それまで一度も意識していなかった自身の内側へ耳を傾ける。
私の魂が望むもの。
私の魂が惹かれる場所。
巡り巡るその旅路で私はきっと運命の人々との出会いを果たすけれど、それらもまた心の在りよう、光のあて方ひとつで見え方も捉え方も変わってしまうものだから。
徴を受けたこの身には、悪魔が誘惑の手を伸ばすけれど、その誘惑すらも自身を知る大きな手掛かりとなるのだと天使は告げた。
だから恐れることなく、私は自身と世界の中に『真の望み』を探りながら、ゆっくりと歩き出すことができる。
心のままに旅をすれという、その『心の在処』を探るところから私の旅は始まるのだ。
了
◆12-17-1 ラブラドライト
キーワード:変化、思慕、人脈、覚醒、才能開花
Copyright RIN
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Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画でした。
オーダーメイド物語としては初のお手紙方式(郵送)でお届けです。
運命のダイスを転がした結果の鉱石をモチーフとした、少し不思議な500文字の物語。
物語とリンクする形で、鉱石イメージのインクを使い、
ガラスペンでミニカードに「鉱石の囁き」を綴っております。
*ミニカードの内容はこちらでは非公開としています