少女は記憶の中の悪魔と戦い、その父親は娘のために闘う

少女は魔法生物とともに、相手の記憶に巣食う悪魔を祓う仕事をしていた。


選ばれし彼女には、好きな人がいる。

いつのまにか好きになった人。

彼の過去も、悪魔祓いによる記憶の共有でしってしまう。

彼は人であり、また人でないのに、それでも彼に惹かれるのをとめられない。


ある時、少女の父親が悪魔に襲われた。

悪魔から父親を守った際に、彼女の父親の両眼には彼女が譲渡した力が残ることに。

父親はそれに気づいていない。

悪魔に襲われたことも、娘に救われたことも記憶にない。

自身が変容したことすらも知らないまま、なかなか帰ってこない娘の身を案じていた。


そうして、手がかりを求めて彼女の部屋へ。

そこで少女の日記をみつける。

娘の子供らしい日常が綴られ、微笑ましくなる。

きっと読んだと分かったら叱られてしまうだろう。


ふと父親は、椅子を見つける。

彫刻が施されたワインレッドの椅子は、かつて神戸の異人館で見た五穀豊穣の神サターン(クロノス)の椅子を思い出させた。

願いを叶える椅子に似たソレはいつから娘の部屋にあったのだろうか。

少女の母親たる妻にはソレが見えていないことにも驚く。


父親は、その椅子に座り、改めて日誌を読み始めた。


実はこの椅子は午前0時に溜め込んだ記憶を放出する装置だった。

少女が悪魔を祓うために得た記憶たちをそこに溜めていた。

偶然座ってた父親は、記憶の放出に巻き込まれる。

通常ならば脳も体も耐えられないほど過剰な情報によって、両目から魔力が迸り、顔をおさえて苦しむ父親。

彼女の魔力を与えられてる両眼によってかろうじて負荷に耐える。


そして、娘がしていること、好ましく思っている彼女の想い人について知ることになる。

どれほど危険なことに巻き込まれているのかも。

娘に救われた記憶も取り戻したことで、父親は決心する。


娘のためにできること、今やるべきことは、父親として子供を守ることだーー



to be…?