先日行われた北海道の道新ホールでのOOPARTS公演「天国への階段」。
そのアフタートークで森崎さんが話題にあげた、『NACSファンとの約束』。
そのもととなったTEAM NACS FILMS N43°の森崎リーダー担当「AFTER」が特別配信で全編公開されました。
当時の映像に懐かしさが込み上げつつ、10年経っても変わらぬ熱くてでっかいリーダーの愛を感じつつ。
NACS15周年プロジェクトの当時レビューを発掘したので、懐かしさとともに再アップです。
**
TEAM NACS FILMS N43°
【監督・脚本:森崎博之/安田顕/戸次重幸/大泉洋/音尾琢磨 製作:鈴井貴之/畠中達郎】
演劇ユニット《TEAM NACS》メンバー5人がそれぞれに監督と脚本を勤めた五本のショートフィルム。
この作品は、映画館ではなく、メンバーとともに全国のライブ会場を回り、そこで上映されたものである。
北海道をロケ地として展開する各20分のオムニバスはどれも、その時間をけして短いとも物足りないとは思わせない、見ごたえのある仕掛けを多く仕込んでくれていた。
どの作品にも、ある種の【ドラマ性】があるのだ。
受け止めた時、何かが残る。
5者5様。
5人の初監督作品には様々な人々が関わっており、その関わりすらもあたたかいと思える何かが存在している。
DVD化が決定しているため、未見の方は、可能であれば、初見の感動や驚き、ドキドキ感を堪能するためには一切のネタバレを排除した方がより楽しめるのではないだろうか。
以下、若干のネタバレを含む可能性とともに感想を
↓
↓
↓
◆頑張れ!鹿子ブルブルズ!
【監督・脚本:大泉洋 出演:TEAM NACS】
唯一NACS全員が出演している作品であり、ファンが見たいと思うNACSの姿と大泉洋が好きなNACSメンバーの要素が存分に詰め込まれた作品である。
笑って、泣いて、驚いて、また笑って、感情のアップダウンを楽しみ、すっきりとした後味が嬉しく楽しい。
北海道の劇団員たちを起用した配役も実に面白かった。
学生時代の後悔を取り戻す、青春時代をともに走ってきた友人たちと再結成したバスケチーム。
提示された《限りある時間》は、ともすれば音信不通になりがちな関係や友情を再確認させてくれる。
◆ヤスダッタ3D
【監督・脚本:安田顕 出演:安田顕/安田こずえ/安田唯乃】
ザワザワと肌を刺激する、悲劇的な家族愛。
抜群のこだわりと独特の美学は、特殊メイクはもとより、出演者全員が〈安田〉性な点や、ひとりの男の人生の転落と変遷と心の拠り所の演出にまで垣間見える。
笑えるはずなのに、笑ってしまえばいいのに、笑いきれない怖さと遣る瀬無さが観終えた後からも尾を引く。
5作品中、最もラストシーンに衝撃を覚えた。
細かな説明を省いてなお迫る、物語が持つ皮肉さが響く。
◆部屋クリーン
【監督・脚本:戸次重幸 イラスト:豊島広大 出演:音尾琢磨/戸次重幸】
5作品中唯一のアニメーション作品。
白い背景に着色されていない線画のアニメーション、そこに入りこんでバトルを展開するのは水色と紫色の妖精であり、彼等だけが実写だ。
ふたりの攻防と掛け合いがシュールで可愛らしくて漫画的でコミカルで、肩のチカラを抜いてただただ追いかけられる。
メッセージ性は何もない、観終えた後になにも残らないのが特徴だと監督はいうが、なのにどこかでジンときてしまう。
◆神居のじいちゃん
【監督・脚本:音尾琢磨 出演:夏八木勲/高野由美/大野百香/森崎博之】
旭川のカムイコタンを舞台とした老夫婦の穏やかで静かな愛情が綴られた物語。
配役が実にズルイ。
夏八木氏がもつ空気感は、画面の中に独特の世界を構築するのだから。
妻の十三回忌、孫とともに歩くカムイコタンの道行は、すばらしい景色としんみりとした想い出と哀しい後悔とかわいらしい出会いとやさしい愛情と小さな奇跡でできていた。
視点は孫だが、物語の焦点は祖父の想いに当てられている。
静かでやわらかでほのぼのとしていて、何よりあたたかい。
そこへ行きたいと思わせる、時を越えてやり取りされる深い想いが素敵な余韻を残す作品。
◆AFTER
【監督・脚本:森崎博之 出演:秋元博行/坂見猪兵衛/斉藤冨夫/小山博/畠山直隆/大泉洋】
50年後の約束、果たされるべき約束、そして果たすための葛藤と行動と努力。
森崎博之が手掛ける時、そこには例えNACSメンバーは居なくともNACSの物語が展開するのだと思わせる力が生まれる。
演劇に懸ける彼等の姿に様々な想いが重なって、彼等を応援する側の思いもあふれていて、どうしていいのか分からないくらいにひたすらに追いかけ、見守りたくなる。
50年後のNACSを演じるのは彼らではないのに、視線や表情やちょっとした仕草で演出されていく『彼ららしさ』が胸にくる。
泣けてきて、微笑ましくて、ジンときて、ほわりとする。
縁の場所などを絡めながらNACSの『これまで』と『これから』とが綴られた、大きな愛情と思い入れを感じさせてくれる作品だった。
***
↑
映画館で観れたのは貴重な体験。
5人のカラーがめっちゃ出ていて、それぞれの世界観が今と繋がってるとかも面白いんですよね(しみじみ)
当時のパンフと上映会ノベルティのコースター(だったはず)を発掘したので記念に掲載。
こう言うのも良き思い出。