孤独な僕と僕を愛してくれた祖母の話〜黄泉がえり 


僕は孤独な子供だった。

莫大な財産はあるけれど、僕のそばには誰もいない。

僕を唯一愛してくれた祖母も、僕を残して逝ってしまった。


でも僕はそれを理解したくなくて、幾度となく祖母の甦りを願う。


そんなある日。

二人組の綺麗な男の人たちが、僕のために祖母を蘇らせてくれた。

彼らとの一度の契約で得られる蘇りの期限は1日だけ。

24時間だけ、祖母は僕のそばにいてくれる。

僕は彼らに願い、長く短い"休み"の間、繰り返し繰り返し呼び戻しては祖母と過ごす日々を過ごした。

繰り返し繰り返し、契約を更新した。

ずっとずっと、そばにいた。


いかないで、きえないで、そばにいて


でも、ついに、僕は僕の仕事のために家を出るときがきた。

休みは終わった。

子供ではあっても、やるべき仕事はたくさんある。

背負ってしまった責任を果たすために。

でも帰ってきたらまた僕を迎えてとねがえば、祖母は笑って頷いてくれた。

そして、アンティークのテーブルに着いたまま、消えずに僕を最後まで見送ってくれた。



僕が出かけてから、祖母は一度とけてきえる。

男たちは互いに顔を見合わせ、真剣に語りあっていた。

何もない黄泉の道へ降り、彼女は他の魂のカケラを取り込みながらずっと彷徨い、現世に戻るために必要な魂のエネルギーを得ていた。


僕のためにいてくれる祖母。

僕のためだけに、悪霊とならずにいてくれる祖母。


このままではいけないのだと頭ではわかっているのに、僕はその事実からずっと目を背ける。




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