お世話になった上司の紹介で入った精神科病院は、これまでの精神科のイメージを大きく変えるくらいに明るくて先進的で、そしてずいぶんと変わっていた。
驚いたのが、年に2回の職員健診だ。
なんとこの病院では、VRゲームによるスタンプラリー形式を取っている。
各検査室で、それぞれ用意しているゲームを基底以上のスコアでクリアして次に進む。
6つほどの部署を巡って、危険予知や動体視力、洞察力、対応力など、各職能に合わせた心身のレベルを図られるのだ。
一度全てをクリアしている私としては、今回は2周目になる。
「じゃあ、何かあったら動いてくださいね」
ベテランには事前説明がほぼない。
ゴーグルをかけられ、向き合ったのは、部屋の映像。
いかにもバーチャルな誰かが近づいてくる。スーツを着た男の人だが、ちょっとヤクザっぽい気がする。
対面相談だろうか。
と思ったら突然、靴の裏が目の前に。
え、蹴られた?
「何か起きたら対処してくださいね」
油断してた。いきなり蹴りを喰らうモードとは思わなかった!
これ、前はもっと緩い設定じゃなかったっけ。
そう思いつつも、追撃してくる相手に対応すべく私は戦闘モードに意識を切り替えた。
繰り出される蹴りや拳をいなしながら、問診を開始する。
いついかなる時も油断しない。
予断で対応が遅れるケースがあることも心得る。
毎回いろんな学びがあるなと思いながら、2度目の職員健診にあらためて挑む私だった。
【夢日記・了】