それは悪夢の一幕にして日常の崩壊


浜辺(砂地)に大量に仕掛けられた罠。


魔神の黒い触手(ムチ)に囚われ悲鳴をあげる子供を救おうと一歩踏み出せば、刹那、剣山を模した無色透明な珊瑚が無数に飛び出し、毒液と酸を撒きながら人の足を焼き貫く。


知らずに飛び込んだものたちの阿鼻叫喚と、その光景を見て尻込みする大人たち。

見ず知らずの子供のために、自分の痛みを耐えてまで駆けつけるのか。

我が身を犠牲にしてまで、正義を執行するのか。


悍ましい生ける鎧を纏った漆黒の魔神は、愉しげに嘲笑いながら、海を背に、己の影から生まれた触手で子供らをじわじわと締め上げていく。


救いを求める子供たちの、恐怖と絶望に染まったまなざしがこちらを見やる。


罪悪感と自己保身と恐怖心で打ちのめされていく大人たち。


そのなかで、矜持と意地で自己犠牲とも言える無謀さで駆け寄る青年がいた。

正義の味方とはいわずとも、子供を見捨てられない彼は、無数の剣山に脚を刺し貫かれながらも、子供の元へと走る。


痛みよりも怒りで、彼は叫び、手を伸ばす。


ためされるのは、己の正義か、それともーー


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・夢日記

・深夜枠の特撮ドラマのようなテイスト

・おそらくこれが第一話にして主人公覚醒回

・魔神のモチーフは海洋生物×クトゥルフ

・なお、魔神の造形にはめちゃくちゃお金かけてそうではある