双子の魔法使いと幼馴染
あふれる才能の有用性と無駄遣いとの関連性について
双子の魔法使いがいた。
魔物や厄災と戦う役目を負った少女たち。
まとう暗紫色のローブに施された術式と紋様が、彼女たちの高い実力と重い使命とを表している。
そんな彼女たちの幼馴染の少年は、擬似生命クリエイターだ。
彼は趣味や依頼で様々な生き物をつくりだす。
足の速いドラゴン、空を飛ぶ馬、火吹きの猫に、ほかにもいろいろ、本当にいろいろと。
双子は、魔法をつかいながら戦うため、機動力をあげるため騎乗タイプの子が欲しい。
双子の片割れは幼馴染に恋に近しい想いを抱き、せめて彼のクリエイトしたモンスターと旅をしたいと願ってもいた。
そして、彼は期待に応えてくれた。
ウマとトカゲを掛け合わせたようなスピード特化の移動用モンスター。
彼のデザインした、擬似生命体。
姉と幼馴染に促されるままに、その背中に少女が乗った瞬間ーー
一直線にトップスピードで駆け出され、瞬く間にその姿が見えなくなった。
細い彼女の悲鳴だけが置いていかれてる。
見守る姉と幼馴染。
「あんた、やりすぎ」
「いや、でもな」
「でもあの子、乗りこなしてるのよね」
「あいつのそういうとこがさすがなんだよなぁ」
その表情は、いっそ呆れるほどに感心しきっていた。