*タロットカードで綴る500文字の物語
Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画第2弾。
タロットカードは大アルカナ(22枚)をモチーフにしています。
空・海・陸のうちで好きなものをひとつと、
こちらが提示した数字から2つ選んでもらい、
それをもとに物語のカードを引きました。
11編を、ご依頼主様の許可をいただき順に公開してゆきます。
タロットカードで綴る物語 #10 星
緑柱石におおわれた“まどろみの神殿”が沈む湖のほとり、清廉にして静謐な夜に満たされたこの場所に、星々のきらめきをまとった小鳥たちがやってくる。
透き通るほどに美しく澄んださえずりは、福音であり、祝福の鐘となる。
かつて、ここで私は天啓に得た。
生きることに絶望し、行くべき道を、為すべきことを、己が魂の使命を、惑いながらも求めて祈る私へ、現世と幽世のはざまに建つ“夢幻城”への誘いでもって応えてくれた。
その城は、壮麗な構造を純真無垢な白でのみ彩り、かつ、その身の内に緑柱石の川を抱いていた。
広間に、階段に、玉座に、バルコニーに、エメラルドの輝きが流れ、私はその中をゆるりと巡っていき。
不意に、本当に唐突に、そこに“循環する愛”を視て、安堵にも似た愛おしさが自身の中にあふれていくのを感じたのだ。
刹那。
私の中に天使が降りてきて、『導きの星』という言葉を授けてくれた。
城への誘いはその一度きりではあったけれど、その一度で、『私は与えられ、そして他者に与えられる存在』だったと理解できたから、惑うことなど何ひとつなくなっていて。
創造と再生を繰り返しながら、私はここで新たな導としての一歩を踏み出すのだ。
了
◆タロットカード:星
◇キーワード:新たな人生、幸福、夢実現の準備が整う
Copyright RIN
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思わぬシンクロに驚いていただけたり、「癒された」「すっきりした」と言っていただけたり。
タロットのなせるわざなのか、どこか暗示的な物語が多い印象となりました。