*タロットカードで綴る500文字の物語


Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画第2弾。


タロットカードは大アルカナ(22)をモチーフにしています。


空・海・陸のうちで好きなものをひとつと、

こちらが提示した数字から2つ選んでもらい、

それをもとに物語のカードを引きました。


11編を、ご依頼主様の許可をいただき順に公開してゆきます。


 タロットカードで綴る物語 #2審判

 

かつて禁猟区と呼ばれ、後に禁足地と呼ばれ、いまや名を呼ばれることも無くなった、四方を海で囲う絶海の孤島。

呪と穢れに一度はまみれたこの島のもっとも高い場所で緑に埋もれそびえる教会に、その日、天使が舞い降りた。

 

頭上から降り注ぐ"夜を昼に変えるほどの輝かしさ"を浴びながら、私は天使がその手に握るラッパをただ見つめる。

私の傍らでは、私の愛する仔犬が、小熊が、灰色鳥たちが、空を見上げるつぶらな瞳にキラキラと天上の光を反射させていた。

眷属と呼ばれることもあるけれど、この子達は、私の家族、私の師匠、私の同志、私のそのもの。

長い年月の中で丁寧に創り上げてきた、この"再生の庭"における大切な存在。

彼らを両腕にしっかりと抱き締めて、天使がもたらす神からの沙汰に耳を傾ける。

 

得られるのは、祝福か。

あるいは、警告か。

 

――その地を愛によって清め、拓きしものよ

――その愛により、他者へ道を指し示せ

 

開放せよと神は告げる。

紡ぎ、積み上げ、慈しみ、育て上げたこの箱庭に、迷えるものたちを招き、導けと。

 

私は愛しいものたちを抱きしめ、彼らに抱きしめられながら、千年の時をここへ費やしてきた日々が報われたことに、歓喜の声をあげた。

 

 

 

◆タロットカード:審判

◇キーワード:第二のチャンス、集大成

 

Copyright RIN


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思わぬシンクロに驚いていただけたり、「癒された」「すっきりした」と言っていただけたり。

タロットのなせるわざなのか、どこか暗示的な物語が多い印象となりました。



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