*タロットカードで綴る500文字の物語
Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画の第2弾。
タロットカードは大アルカナ(22枚)をモチーフにしています。
空・海・陸のうちで好きなものをひとつと、
こちらが提示した数字から2つ選んでもらい、
それをもとに物語のカードを引きました。
ご依頼主様の許可をいただき、11編を順に公開してゆきます。
タロットカードで綴る物語 #1節制
ラピスラズリと大理石が混ざり合う青の渓谷を超えた先。
“聖杯の天使”は、清らかな流れの中につま先を浸し、純なる花の縁に身を置いて、神の庭の物語を、紡がれる運命を、ささげられる祈りを、聖なる歌にかえて口ずさんでいた。
両の手によって掲げられ、聖杯から聖杯へと渡される水は、過去から現在へと流れる時間そのものだと聞く。
見つめていると、私の中にじわりと記憶たちが感情と鮮やかな彩りをともなって蘇る。
同時に、星読師がもたらした“預言”が目の前で現実となっているのだとも知る。
魂が壊れる前に行けと告げた、彼女の真意を理解した。
やはり私は、あの場所にとどまるべきではなくて、あの人に固執すべきではなくて、私は私として己の足で立ち、己の意思で前へ進まなければならなかったのだ。
アレは、必然の別れであって。
ソレは、けっしてただ失われるだけのものではなくて。
コレは、魂の成長を約束するもので。
ここに、盲目となって自分自身を殻の中に閉じ込めていた『かつての私』はもういない。
私は、敬虔なるものとして、そっと天使の前で跪く。
救いを求めるのではなく、ただ、あるべきものの確かな愛のために祈りを捧げた。
了
◆タロットカード:節制
◇キーワード:和解と成長、調和、自然体であれ
Copyright RIN
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思わぬシンクロに驚いていただけたり、「癒された」「すっきりした」と言っていただけたり。
タロットのなせるわざなのか、どこか暗示的な物語が多い印象となりました。
正式リリースは近々。