*推しの概念モチーフ3つで綴る500文字の物語
Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画でした。
推しの名前や指定の概念モチーフは伏せた上で、企画で綴らせていただいた8編を、ご依頼主様の許可をいただき順に公開してゆきます。
モチーフで綴る物語 #7
萌えたつ新緑から深緑へ、エメラルドからブラックオパールへと色味を変えて、なめらかな輝きを放つ麗しの森。
いつになく周囲が浮き足立っているのは、今日が穂月祭のはじまりだからだ。
美味しいにおいと、愉快な音楽と、見知ったものたちの笑顔であふれる七日間。
漁や狩りに出ていた同胞が、その身にはあまりに大きすぎる獲物を携えて帰ってくれば、場はさらに盛り上がる。
「こっちで雪リスの親子が踊るぞ、音楽をくれ」
「さあさ、蕗の一族の出番だよ!」
呼ばれ、請われて、私も、蕗の一族のひとりとして手製の白樺ウクレレを披露して。
そこに蕗笛やどんぐり太鼓も合わさって、紺碧に染まった賑やかな音色が森に広がり、空へと鮮やかに舞い上がる。
それに誘われたのか、雲鯨がゆるりと頭上に姿を現して、珍しさに歓声があがった。
あとひと月と待たずに、この最北の地は雪と氷に閉ざされる。
永い永い冬の眠りにつく私たちにとって、この穂月祭は、仲間たちとのしばしの別れをも意味する。
だから、豊穣を祝い、息災を祈り、別れと再会の約束を歌い、神へ捧げるために踊るのだ。
――また来年、またここで。
交わした私たちの想いのすべてがキラキラと森に満ちて、冬の眠りの守護となる。
了
Copyright RIN
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『あなたの考える推しを構成する概念モチーフ(イメージカラーや属性、小物類など)を3つ』あげていただき、その概念で構成された物語を綴るという企画でした。
二次創作ではなく、あくまでもモチーフ(概念)反映の一次創作。
そして、概念として表すモチーフも、ご依頼主さま独自のものでオッケーとしてみました。
ただひたすら書いていて楽しかったです。
実際にオーダーメイド物語としてリリースにするには、『解釈違い地雷踏み抜き回避』のためにも、もう少しいじる必要があるのですが、頑張って調整してみる所存です。