*推しの概念モチーフ3つで綴る500文字の物語
Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画でした。
推しの名前や指定の概念モチーフは伏せた上で、企画で綴らせていただいた8編を、ご依頼主様の許可をいただき順に公開してゆきます。
モチーフで綴る物語 #5
その日、厚い雲の合間から、キラキラと陽をまとった光の球がするりと降りてきた。
あたたかくて優しいソレは、見る間に仔猫の肢体に形を成して、空の中でうんと伸びをすると、思うままに駆け出した。
軽やかに楽しげに、飛び跳ねて、跳ね回って、花園から山、山から湖へ。
仔猫の足が触れたところには、"太陽の花"が咲く。
シトリン、トパーズ、アンバー、パララチアサファイア……透明度の高い光の花が咲き乱れる。
私の視界に映るすべてが、空から降り注ぐ灰によって、よどみ、かすみ、くすんでしまった世界が、鮮やかな金色に染め上げられていく。
ソレは泣きたくなるほどに眩しくて、胸を締め付けるほどに美しくて、知らず涙が零れ落ちていた。
光の仔猫は最後の最後に、不思議な笑みを瞳に湛えて私の元へとやってくる。
灰色の城の塔から灰色の世界を見下ろすことしかできなかった私の腕の中で、その仔は初めて声をあげて鳴き。
とけて消えるその瞬間、仔猫は仔猫であって仔猫ではなく、その存在は、私の一部、私の全部、私の新たなる在りようの具現なのだと気づかされて。
金色の光を帯びて生まれ変わる世界の中心で、私は新しい私として産声をあげた。
了
Copyright RIN
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『あなたの考える推しを構成する概念モチーフ(イメージカラーや属性、小物類など)を3つ』あげていただき、その概念で構成された物語を綴るという企画でした。
二次創作ではなく、あくまでもモチーフ(概念)反映の一次創作。
そして、概念として表すモチーフも、ご依頼主さま独自のものでオッケーとしてみました。
ただひたすら書いていて楽しかったです。
実際にオーダーメイド物語としてリリースにするには、『解釈違い地雷踏み抜き回避』のためにも、もう少しいじる必要があるのですが、頑張って調整してみる所存です。