*推しの概念モチーフ3つで綴る500文字の物語
Facebookにて、オーダーメイド物語の新メニュー考案のために募集したモニター企画でした。
推しの名前や指定の概念モチーフは伏せた上で、企画で綴らせていただいた8編を、ご依頼主様の許可をいただき順に公開してゆきます。
モチーフで綴る物語 #3
爽やかなミントグリーンの海の上を、楽しげな声を跳ね上げて"彼"は駆ける。
彼の周りには、やはり楽しげな私の同胞たちがいて、先ほどから魔力で作り出した白球が、そんな彼らの間を行き来する。
投げて、掴んで、また投げて。
目まぐるしくやり取りされるソレを、彼は"キャッチボール"だと教えてくれた。
あらぬ方向へと飛んでいくことすら面白いようで、同胞たちがこんなにも声をあげて笑っている光景を、私はもしかすると初めて見たのかもしれない。
体力も魔力も尽きるまではしゃいでから、ようやく彼らは私のもとへ帰ってきた。
彼は、異界からの渡り人。
凪の海に移り込む、天空にそびえる逆さ城から、いく筋かの光とともに彼はここへ落ちてきた。
異端を嫌う同胞たちが彼を受け止め、助けたのは、きっとその魂の輝きに惹かれたから。
「“約束の地”を探して旅をしてるんだ。仲間とさ、そこで再会を誓い合ったから」
はにかんで笑う彼の表情は、どこか切なく寂しげで。
彼の旅路が優しいものであればと、そして彼の願いがすべて良き形で叶えばと、私はただそう祈りながら、海を己の領域とするセイレーンの長として、彼に祝福の歌を贈った。
了
Copyright RIN
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『あなたの考える推しを構成する概念モチーフ(イメージカラーや属性、小物類など)を3つ』あげていただき、その概念で構成された物語を綴るという企画でした。
二次創作ではなく、あくまでもモチーフ(概念)反映の一次創作。
そして、概念として表すモチーフも、ご依頼主さま独自のものでオッケーとしてみました。
ただひたすら書いていて楽しかったです。
実際にオーダーメイド物語としてリリースにするには、『解釈違い地雷踏み抜き回避』のためにも、もう少しいじる必要があるのですが、頑張って調整してみる所存です。