何かの検索から辿り着いて、思わず手にしてしまった一冊。


小説新潮にて編集長をつとめ、ミステリー新人賞の事務局にも携わり、大学時代には推理小説研究会に所属していた新井久幸氏が書く、「ミステリ入門」なのですよ。


まがりなりにもミステリ好きのミステリ読みかつミステリ書きを自認してる身としては、惹かれないはずもなく。


『ミステリとは何をもってミステリたらしめるのか』から始まり、展開され、紐解かれ、曖昧な感覚に名称と分類が与えられ、整理されていく。

視界が明瞭になっていく感覚はとても興味深い体験でした。


読み手を惹きつけるミステリ小説とするためのノウハウが丁寧に、かつわかりやすく綴られてます。


ミステリにおける『謎のあり方』と『事件において解かれるべき謎の分類』、読み手が納得するための論理性と解決に至るでの伏線の張り方&伏線のあり方……などなど。


他にも様々な項目が、ネタバレに十分配慮された上で実際の作品を具体例として挙げながら語られるわけです。


自作を見直すポイントが明確になるので、とてもありがたい。

同時に、読み手として、作品に仕掛けられた面白みを様々な角度から堪能する術を与えられて、こちらもやはりありがたく。


今後の創作における指南書のひとつとして大事にしていきたい一冊となりました。


ちなみに、わたくしの、ミステリの書き方本とトリック分類表の蔵書はこちら

古いものもありますが、時を経てなお、興味が尽きないのです。