カウンセラーや看護師にとって、クライエントや患者さんと話すことは大切な仕事のひとつです。
看護師の場合は、情報収集という言葉に変換されるかと思います。
そして、信頼関係を築く上で、「相手に関心を持って接する」ことをとても重要視されます。
でも、そこに『ある要素』が欠けると途端に関係は壊れます。
その質問をする『意図』はなんでしょうか?
相手に対し、それを聞くことにどんな意味やメリットがありますか?
アセスメントにつながりますか?
『興味関心を持つこと』と、『興味本位』は別物なのです。
ただ自分が知りたいだけの質問、ただの好奇心からくる言葉は、時に相手をとても不快にさせ、時に相手をひどく傷つけます。
これは、私が新人看護師時代に先輩から教わったことであり、
キャリアコンサルタントの授業で学び直したことでもあります。
私たちが相手の話を聴くのは、
・価値観の確認やすり合わせ
・問題点の抽出
・理解度や不安、悩みの共有
・自分自身をより知ってもらうため
・気づきのきっかけ
・視野の拡大や視点を変えるきっかけ
・選択肢の幅を広げるお手伝い
など、さまざまではありますが、共通して言えるのは、『相手にとって意味がある』こと。
そうでなければ、「根掘り葉掘り聞かれた」「話したくないことまで聞いてきた」「いきなり踏み込んできた」という印象に繋がりかねません。
がんの告知を受けてショックを受けている相手に、「いまがんと聞いてどう思いました?」と前置きなく聞いてしまう危険。
あるいは、離婚後に就職を考えて相談に来ている方へ、「どうして離婚したのか、どんな経緯か」を細かく問う危険。
もしかすると,「そんなことを聞く人がいるの?」と驚かれるかもしれません。
逆に、「必要なことだから聞くべきでは?」という方もいるかもしれません。
けれど、その話はいま必要なのでしょうか?
それを聞いたことで、相手のプラスになりますか?
相手が、「いまその話をしなければ前に進めない」というのであれば別です。
ですが、そうでないのなら、むしろマイナスの作用にしかならないのです。
本題はどこにあり、相手のために必要な情報とはどういうものか、つねに、「質問の意図」を考えてみてください。
そこには、相手への気遣いや想像力も必要になります。
大切なことや本題を、いきなり話せる人はほぼいません。
言葉を交わして得られた安心と信頼の後に、人は自分のことを開示してくれます。
だからこそ、信頼関係のためにも、
「この問いは興味本位ではないのか?」
「この質問の意図は何か?」
を己に問いかけてみてください。