舞台作品では、個人的にTEAM NACSとならんで激推しの小林賢太郎さん。
今年12月にパフォーマーとしては引退されましたが、公式YouTubeにて舞台アップされてます。
というわけで、推しのレビューキャンペーン第2弾。
今回ご紹介するのは、《TAKE OFF~ライト三兄弟~》という作品。
今はなきレビューブログより、DVDによる初鑑賞時の記事を再掲↓↓↓
TAKE OFF~ライト三兄弟~
【演:K.K.P. 演出・脚本:小林賢太郎 出演:オレンヂ、久ヶ沢徹、小林賢太郎】
やることが見つからないままに自転車で旅をする20代の青年。
仕事を辞めたばかりの、しかし飛行機になみなみならぬ情熱を注ぐ30代の男。
家族との関係が上手くいかない40代の大工の男。
3人は屋上で出会い、そしてある飛行機の設計図に出会うことで、共にひとつの夢を追いかけはじめる。
舞台に上がるのは3人だけ。
けれど、そのたった3人が織り成すドラマは、深く、そしてとても面白い。
心の中に抱えているもの、葛藤や空虚さや戸惑いは年代によって違いもすれば、年代を超えて共通するものもある。
情熱を傾けられるというのは、とても幸福なこと。
進むべき道を知っているというのは、ある種とても素敵なこと。
そして結果の分からない道を、仲間とともに駆け抜けるのもまた、とてもとても楽しいこと。
知らぬ間に、日常はままならないようにできていて、『夢』は叶わないものだとすり込まれている。
けれど、そうではないのだ。
やりたいことをやる、夢みた場所に行くために、ひたすらに頑張ることに価値が見出せる。
舞台上で育てられていく彼等の友情、彼等の成長、彼等の変化、彼等の思いは、とてもまぶしい。
合い言葉をはじめとしたまるで小学生のようなやり取りはもちろん、飛行機に対する情熱の語り合い、少年の目をした彼等のコミカルなのにじんわりとくる掛け合いは、言葉以上の何かを肌で感じる。
さらに興味深いのはやはり、小林賢太郎作品特有ともいうべき舞台パフォーマンスの精度の高さだろうか。
自転車や木材を楽器に変えるリズミカルな音楽がすばらしい。
音で会話する、音で魅せる、音で構築するシーンに、鳥肌が立った。
ラストシーンに容易されている大掛かりな舞台装置もあわせて、視覚と聴覚を驚かせ、楽しませてくれる演出がたまらない。
見るモノの心に刻まれる、胸に迫る、その物語に感動する。
できることなら劇場で、生でその迫力を堪能したかった、そう思わせてくれる、けれどDVDとしての編集も十分素敵な作品である。
