今日の奈良は物凄い雨でした。
レッスンの生徒さんたちは来なくて幸いと言うか
オフ日なのに外出できなかったので、楽譜の洗い直しです。

さて、久しぶりに来月は日本歌曲を3曲歌うのですが
今回はオール山田耕筰作品です。
少しでも声楽を齧った事のある方が見れば
何を血迷ったのか?と思われそうですねw

山田耕筰作品の恐ろしさと言うのは特別です。
オペラアリアのような超高音が出てくるわけでもなく
アジリタの連続のようなものも出て来ません。
長い長いフレーズのレガートがあるわけでもなく
大きな跳躍進行があるわけでもない
特別に速いテンポでも極端に遅いテンポでもなく
シラブルに与えられた母音と子音の数も多くはない。

アリアがエベレストや富士山のような高い山を登るものならば
山田耕筰氏の歌曲はなだらかな若草山のようなものです。
しかし、一見何もないなだらかな山を登る事が
とてつもなく難しい事でもあります。

まず伴奏の力を借りる事ができません。
自分の息と言葉の力だけで進んで行かなければならないのです。
とてもなだらかな山なのですが
自分の腕と1本のロープだけで山を登るようなものです。

ですから一つ一つの技術のアウトラインがとても正確で
はっきりした線を描いていないといけません。
おまけに山田耕筰氏自身が
「歌は朗読されねばならない」と言っている事からも
気をつけないと行けない事柄がはっきりしています。

日本語のアクセントが高低でできていますので
メロディの高低に関わらず、
言葉の頭以外は柔らかく歌わなければいけません。
語感を生かすように喋る事が息に乗らなければいけません。
語頭ははっきりと、子音が立つように喋るのです。
(し、ち、ひ、き、す、つ、ふ、く)などの
無声子音の扱いには特に注意しなくてはいけません。
必ず子音の発音の前に息が流れている事を確認する必要があります。
また最近の日本語の中でも気になる事柄の一つが「が」行です。
語頭以外は鼻濁音になる必要があります。
また同じ母音が続く時には言葉をセパレートする必要があります。
「ん」の扱いも響かない発音をしていらっしゃる方をよく見ます。
口を開けるものと閉じるものの区別が必要なのに意識していないようです。
「ん」に続く子音が「B,M,P」の時は閉じるのです。
それ以外は開けなければいけません。
一つの言葉の音程を変えて伸ばす時には、
言葉の後半を柔らかく歌う必要があります。

最低限の日本語の約束だけでも以上のようにありますので
その約束を西洋音楽の息の流れに乗せるとなると
…実は結構至難の技だったりします。
もっと細かく注意する事はありますが
それはレッスンの時にご質問にお答えします。

まぁ、何が言いたいのか?と言うと
結局ワークショップでやっています「声力」を日々トレーニングです。
その準備があってこそ、「日本のこころ」の表現が表に出て来ます。
日本語の美しい響きと深いつながりを持って作曲された
珠玉のような歌曲たちの歌唱が成り立つのです。
なかなかに難しい事ですけれど。

日々楽譜と格闘しておりますが、明日ももっと良い歌になるように
またレッスンに来る方々に良い音楽を伝える事ができるように。
腰痛と戦いながらトレーニングして寝る事にします。


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