"Io non canto, io sospiro."
(私は歌ってるのではなく、ただ呼吸をしているのです。)
(カルロ・ベルゴンツィ=テノール歌手)



まぁ、世界にはとんでもない事を仰る偉大な歌手がいらっしゃいますが
せっかくですので、その「呼吸」について考えてみましょう。

発声において、どのように息を吐くのかが問題の大半です。
そして呼吸とお腹の支えはとても関係が深いものです。

お腹とは下腹の事で、斜腹筋と丹田で支えます。
下腹の支えの役割は咽喉を緊張させず自然な状態を保つことです。
衝撃を吸収・緩和するクッションの技術はとても大切ですね。
下腹の支えはそれと同じものです。
硬くて融通のきかないクッション…役に立ちませんね。
それどころか咽喉や口、舌根、顎、頸部などに
余計な力が入ってしまいます。
支えは、柳のようにしなやかで柔軟でなければいけません。

横たわって息を吐くと背中が開き肋骨が締まり
横隔膜が緩やかに上がって行きます。
吐くのをやめると肋骨が開き横隔膜が下がります。
この自然な動きを止める事がないように
常に肋骨と横隔膜が連動している状態で歌うのがベルカント発声法です。
常に肺の中の空気圧が一定に保たれるようになります。
(イタリア人の考える事は常に自然であれ!と言う事のようですね)
赤ちゃんの呼吸がこれに近いように思います。

それに対して息を吐いて肺の中の空気が減ってきても
筋肉の力で肺の中を同じ圧力状態に保つのがドイツ式の発声法です。
腹筋(腹斜筋、腹直筋、腹横筋)と背筋の力が必要になります。
間違ってこの発声法を行うと声が固く暗い響きになりますし、
咽喉、顎、舌根にも力が入りやすくなり
不自然なビブラートもつきやすくなります。
起き上がり式腹筋運動している時って首周りに力が入りませんか?
(下腹に力の入る足上げ腹筋時とは違う状態なのはわかると思います。) 
上腹に力を入れれば、あごが硬くなりますよね。
筋肉は全て(心臓を除く)連動し、身体は一枚の皮で繋がっているので
意識して締めたり緩めたりする事をしないと全部が硬直してしまいます。

ここで力の入れ方が問題になります。
筋肉を固めてしまうのではなく、体重の移動で考えてみて下さい。
体重は変わる事はありませんが、身体の中で移動はしています。
あなたの体重は今どこにいますか?
そしてその体重をどこでキャッチしていますか?
全ての力を抜いて一度横たわって下さい。
身体が地球に吸い込まれそうな感覚がありますか?
その時の身体の状態を覚えて下さい。
そのままその流れに逆らわないで息を静かに吐いてみましょう。
下腹から内腿、臀部にかけて回転するように動きながら
背骨から頭部に向かって息が流れるのを感じると思います。
そして次に下半身の力を一気に抜いてみましょう。
そうすると下腹部と背中に息が流れ込んで来るのを感じる事ができますか?
人間の自然な呼吸はこのようにできています。

問題はこれを立ってできるかという事ですね。
そこで姿勢が問題となります。
と言う事で、次回は歌う姿勢について考えてみたいと思います。

人間の身体のメカニックは本当に面白いです。
そんなわけで人体模型やボディマッピングに私は夢中です。
趣味が高じてうちのレッスン室には「骸骨くん1号」が鎮座しておりますw

それはさておき、まずは自分の骨格について触りながら
知って仲良くしてあげて下さいね。

長くなってしまったので、本日はここまで~







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