『果てなき旋風の目指す先に　ミナミセンプウ ①』前回の更新においては、ミナミセンプウのテレカを4枚まとめて上げました。ある意味、良いきっかけとも言えるので、今回は1990年代半ばに一時代を築いたミナミセンプ…

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旧4歳の1994（平成6）年初夏、園田・楠賞全日本アラブ優駿からの帰福初戦となった第15回銀杯。

単勝2番人気に推されたミナミセンプウは、本命で福山ダービー3着のジョージハンターに3馬身差（3着馬は、そこからさらに8馬身差）をつける完勝で重賞初制覇を収めました。

2戦後の第20回金杯は、ファン投票により選ばれた馬たちのレース。

しかしこの年は7頭立てと少々寂しい頭数となり、本命の支持を集めた前年の覇者オールセンプーも精彩を欠くレースを続ける状況だったことから、3番人気のミナミセンプウにもチャンスは十分と見られました。

最後の直線、オールセンプーを早々に捉えたミナミセンプウは、対抗格のヘイセイガバナーや中団5、6番手から差し脚を伸ばしたイムラッドキングの追撃を振り切り、古馬重賞も制覇。

銀杯→金杯の同一年制覇は、空前絶後の快挙となりました。

快挙達成の背景には、銀杯は「福山ダービー優勝馬に出走権がない3歳（旧4歳）限定戦」というレースの性質上、優勝馬が世代No.1ではないケースが多いため、同年真夏の時点では古馬トップクラスとの実力差が生じていることが挙げられます。

そのようなことから、ミナミセンプウのあとにも同一年制覇は生まれることなく、金銀ダブル制覇まで広げてもフジノコウザン（'06銀杯→'07金杯）の一例のみという、激レア記録誕生となったのでした。

2ヶ月の夏休みを経て出走したA2でピアドタイトルを最下位に破って、ひと足早く雪辱したあと、迎えた第18回鞆の浦賞は上がり馬ブラウンターボとの一騎打ち。

4番手追走から第4コーナーを前に先頭に立ち、ブラウンターボを1馬身差に下しました。

ブラウンターボとの手ごたえの差は歴然で、着差以上に強いというだけでなく、馬体重は初出走時の480キロからこの時点で自己最高の515キロまで成長しており、凄みや迫力までファンに印象付けました。

1開催をスキップして万全の調整を施した、次戦の第8回西日本アラブダービー。

遠征勢の総大将ともいえる存在のセンターキング（兵庫）は、前走の姫路・姫山菊花賞を勝っての来福で、園田・楠賞全日本アラブ優駿ではミナミセンプウに先着していました。

しかし、その他の遠征馬はどれも調子を落としていたり、地元重賞で勝ち切れなかったりとあって、ミナミセンプウ vs センターキングの図式が構築された一戦でした。

対戦成績が評価されたのか、福山移籍後すべての手綱をとってきた小嶺英喜騎手から荻田恭正騎手へのテン乗り（※）が不安視されたのか、単勝1番人気をセンターキングに譲ったミナミセンプウでしたが、充実度は春とは雲泥の差。

※ 小嶺騎手は調教師転身のための研修受講で、地方競馬教養センターに赴いていました。

2番枠を生かし、スタートしてすぐに2番手を取ることができた時点で“勝負あり”と言えたでしょう。

ここでも第4コーナーを前に先頭に立ち、あとは後続を離す一方。

2着のセンターキングを6馬身差に、3着のブラウンターボをそこからさらに6馬身差にちぎり捨てる圧勝劇が展開されたのでした。

その次の第21回アラブ王冠もまた、ホッカイドウ競馬から後を追ってやって来たリアルディールを2.4秒の大差に下す、さらなる圧勝劇で旧4歳時を12戦8勝としました。

旋風は、もはや暴風さながらの勢いに。

世代最強の評価は当然として、福山競馬場現役最強馬の声もまた日増しに高まるばかりでした。

次開催には、その声に応えるのに相応しい舞台が用意されていました。

“年始の頂上決戦”第30回福山大賞典です。

（つづく）

果てなき旋風の目指す先に ミナミセンプウ ②

果てなき旋風の目指す先に　ミナミセンプウ ②