前回のラストで氷月(波瑠さん)にさらなる心痛、忘れられない辛い記憶を与えた部下・瑞江(柏木悠)の殉職。

その悲しさや悔しさは一切表情に出さないのに、刑事としての職務遂行に対する氷月の一層強い決意がにじみ出る今回のエピソード。

誘拐事件の捜査方針でぶつかり合う特殊班捜査係の池上(徳重聡)との対立シーンで、犯人検挙のため一歩も引かない、責任感に満ちた眼差しの鋭さに感銘。

何が氷月にそこまでの強い気持ちを与えているのだろう。

 

このドラマ、波瑠さんがこれまで演じてきたキャラクターとしては、非常に珍しく、感情をじっと押し殺して、外見的には表情の変化がほとんどないようにも見える、静かなお芝居。

そのあまりの静謐さとあいまって、じっと目の前にあるものを見つめる、そのクローズアップの目の表情が、この上なく美しい。

でも、それだけ抑制したキャラクター描写なのに、心の中の葛藤や苦悩、自分の置かれた境遇や宿命と真正面から向き合い、立ち向かっていく内面の気持ちの動きは、微妙で繊細な台詞や表情の中で、しっかりと表現されている。

今回、特に印象的だったのは、妹・陽菜(加藤菜津)とのやり取り、真剣な想いで家族の意味を問う妹に、言葉を絞り出すように部下の殉職を告げるときの、苦しい言葉や、ケーキを買ってきて、妹と二人で食べるときに、一瞬だけ口元に浮かんですぐに消えた、かすかな微笑み。

部下の穂村(森本慎太郎)とのやり取りでも、少しずつ穂村の熱さを受け入れようとする率直な気持ちの兆しが見えたり。

それを常に見守っている(?)土屋(山本耕史)との関係にも、変化が見えてきているような。(ここの描写だけ、かなりの「立ち聞き」多用は、なぜか「あさが来た」を思い出して(笑))

 

いや、それにしても、このドラマ、展開がシリアス一辺倒で、緊張緩和で一瞬くすっと笑えるようなコメディリリーフもほとんどなく、事件解決や謎解き中心の刑事ドラマとはだいぶ構成が異なる。

どうやらオーソドックスな娯楽作品としての一話完結の形式ではなく、エピソードも刑事側のドラマと混然一体となって、連続していく感じ。

その分、全体的にテンポが遅めで、めりはりや、展開のさくさく感には欠ける。

自分としては、刑事側ドラマ、特に氷月の行動と感情、彼女を取り巻く人間模様を中心にしたドラマになっていて、非常に見応えがあると思っているのだけど。

次回は、今回の事件の一応解決編になるのだろうけど、前回同様、事件当事者に対する氷月の想いの描写に期待するとともに、ドラマ自体も折り返しで、氷月自身のストーリーにも何か変化があるような予感がして、それも楽しみ。