やっぱり波瑠さんのドラマはいい!
波瑠さんが主人公を演じている、ただそれだけでもう、そのキャラクターに深く感情移入し、ドラマの世界に没入してしまう。
このドラマで特筆すべきなのは、なんといっても、柊氷月という、これまで波瑠さんが演じてきた、どの主人公とも違う、独特のパーソナリティー。
瞬間記憶能力という特殊なスペック自体は、でも、「ON」の藤堂比奈子も似たような能力はあったし、すっかり忘れていたけど、そういえば、「大江戸捜査網2015」で演じた田沼意次の娘・早苗もそうだったし、一人の女優が違う役で3回も演じるって、記録かな(笑)。
で、印象的なのは、波瑠さんの美しいアーモンド・アイのクローズアップ描写。
そして、まさに氷のように透き通ったその眼差しとクールで孤高感に満ちた立ち居振る舞い。
この役は、仮にビジュアルだけだとしても波瑠さんが最高のはまり役。
さらに、波瑠さんのお芝居で言うと、単に冷徹で感情を表さない「氷の女王」としての側面だけじゃなく、被害者の悲しみに寄り添う繊細な優しさ、過去の無残なトラウマに葛藤する苦悩、他人の心の痛みを分かろうとしない横暴さや傲慢さへの激しい怒り、そういう多面性を持ち合わせた複雑なキャラクター表現が見事。
例えば、今回のエピソードで言えば、終盤の取り調べシーンでの突発的な犯人への憤怒の爆発。
まだ、ドラマは始まったばかりで、氷月の内面に何があるのか、それが、このドラマの展開でどう変化していくのか、これから、波瑠さんのお芝居がますます深く、広がって、キャラクターの描写が魅力的になっていくことを大いに期待。
共演陣も、ワトソン的ポジションでありながら、敵かもしれない土屋(山本耕史)との掛け合いはかなり見ごたえあって、相変わらずの怪演(笑)がこれからも楽しみだし、柊班メンバーの個性との相互作用も見どころになるだろう。
ストーリーという面では、ま、率直に言って、この第1話はちょっと雑、粗いかな、という感が否めない。犯人の動機は異常だけど単純だし、凶器だとか指紋だとか、犯行も極めてずさん、氷月の能力がなくても、解決は容易だったように思える。
でも、少なくとも、この第1話で、エピソードのコアは、事件解決や謎解き、というより、氷月とその仲間のキャラクター紹介、そして、犯人よりは被害者である二人の女性の絆、その友情と悲しみ、いわたりへの氷月の共感、そこに焦点がある。
もう一つのこのドラマのポイントとして、ひょっとすると、氷月を主体としたシスターフッドへの共感が裏のテーマなのかもしれない。そういう観点で今後のエピソードも注目していきたいと思う。
ちょっとだけ余談で、柊班の歓迎会のレストラン、波瑠さんの主演ドラマでは、「ON」、「サバ婚」、「G線」に続いて4回目のフォンダ・デ・ラ・マドゥルガーダだったね。あと、氷月のマンションは、「まほリノ」でマドリスト飯星が最初に買おうとして誰かに先に買われてしまった部屋だったとか、玄之介と再会した歩道橋とかも出てきて、なんか懐かしい小ネタ。
ドラマを放映しているフジテレビは問題山積みで、ドラマに影響が出ないことを切に願うけど。波瑠さんはきっと自分の仕事に集中して、しっかりやってくれる。それはもう安心して観ている。