ドラマもいよいよ佳境、小梅(波瑠さん)と玄之介(間宮祥太朗)を取り巻く状況もエンディングへ向けて大きく揺れ動く波乱の展開になってきた。

今回のエピソード、冒頭は前回の梅玄コンビの気持ちが通い合う感動の手つなぎシーンから、心地よい余韻に浸って始まったのも束の間、すぐに子沢山シングルマザーの大家族リノベ案件でテレビ出演というばたばたの一方で、グローバルの宅地開発プロジェクトに絡んで蔵ノ介社長(遠藤憲一)因縁の一休食堂へのリノベ営業が並行して進む、ジェットコースターのように目まぐるしいストーリー。

 

その慌ただしい状況で、今回特に印象に残ったのは、やはり波瑠さん演じる小梅というキャラクターの魅力。

初っ端は、玄之介に送ってもらった夜、自宅でデコ出し超絶美ビジュアルのくつろぎタイム、手つなぎの感触に思い出し笑い、SNSで玄之介から明日もよろしくのメッセージに異常に舞い上がって反応してしまう、まるで「リモラブ」の美々先生のようなたまらないキュートさは、こんな小梅見たことなかったけど、でも、小梅らしいと言えば小梅らしい、ツンの後のデレの絶妙の匙加減が何とも言えない。

で、一変して、翌朝出社してからの玄之介への突然の厳しい営業作法指導、デレの後のツン(笑)って、いや、あまり聞いたことなかったけど、これがまた傑作。

リノベ営業でテレビ出演を意識して、あんなにバカにしていたまるふうろうの被り物までして、いやあ、波瑠さんみたいな絶世の美女にこの間抜けな可愛らしさはもう反則でしょ(笑)。で、番組のプロデューサーにダメ出しくらって、被り物をバッグに投げ込むふてくされた表情まで胸にキューンとくる(笑)。

これ、玄之介とのラブ展開の余波っていうか、知らずしらずのうちに気分が高揚して、小梅の心が少しずつ柔らかくなってきている、観ていてそんな幸福感が伝わってくる。

テレビ中継の入った大家族リノベのヒアリングでのシーンも、いつも冷静でしっかり者の小梅が困惑と苛立ちですっかり三枚目になってるのが、可笑しいやら可愛いやら。

で、ここまではひたすら楽しい流れだったんだけど、一休食堂のリノベ案件でグローバルの有川が再びまるふくに来襲、急にシリアスな流れになって、小梅の表情も一気に引き締まり、行く手を遮る障害に立ち向かおうとする、その眼差しが凛々しく、強く、美しい。でも、その後の小梅が自宅で一人、グローバル時代に有川の誘いを断ってから、理不尽な出来事の連続で職場を追われた悔しい記憶の回想シーンは、悲しげで深刻な顔つきがこの後の展開を予感させる。

それから、大家族リノベ案件では、プランの提案で家族内のごたごた、姉妹の感情の衝突があらわになり、一休食堂の営業では、蔵ノ介の過去のいきさつと悔恨が明かされ、どちらも隠れていた魔物が表に飛び出し、パンドラの箱が空いてしまう。

って、このドラマ、パンドラの箱が空くのは、これで何度目?(笑)

夫婦別寝のとき、小梅の実家リノベのときもそうだったし、いや、まさか次クールのドラマ(エルピス)の番宣かねてるわけじゃあないよね?(笑)

でも、大家族リノベの方は、どうやら箱の底に希望が残っていて、親子と兄弟がお互いを思い合う気持ちに支えられて、どうにかリノベの魔法が効いた格好になる。この時、リアタイで観たときはあまり気がつかなかったのだけど、小梅が決め台詞、リノベは魔法ですから、とカメラ目線で答える、その表情も自信たっぷりのようで、後からリピートでよく見るとどこか固い。というのは、きっともうひとつのパンドラの箱の方は、希望が見いだせていなかったから。

で、エンディングは、予想外の心が痛い展開。

玄之介が一休食堂の主人に誠意を見せて、リノベ提案の了承を得たのにも関わらず、小梅の気持ちは醒めていて、玄之介の甘さをきつく問い詰め、急転直下、まるふくを辞めると言い出す。小梅のシビアな表情と言動の陰に、切なく悲しい思い詰めた気持ちが見え隠れして、それでも小梅のことを信じている玄之介にどうしたのか問われても、さよならとだけ言葉にして、寂しく去っていく。

いやあ、これ、こういう風に引っ張られると、最終回まで観ているこちらの気持ちが持たないよ。このまま終わるわけないし、すかっとした大団円になるに決まってるとは思うけど、早くなんとかして(笑)。

予告編の小梅の涙ながらの台詞、わたしがいなくてもまるふくはやっていけます、って見てるだけでうるうるしてきちゃう。

 

ということで、今回も基本的に見ていてすごく楽しく、クライマックスの盛り上がりではらはら、面白い展開だとは思ったんだけど、でも、あえて言うと、ストーリーとしては、ちょっと詰め込みすぎの感もあり、若干消化不良というか、物足りなさも感じないわけではない。

特に、やはり、このドラマのコアである、小梅と玄之介のバディによる、依頼者の気持ちに寄り添ったリノベ提案、その仕事への向き合い方、リノベ提案の基礎になる発想の転換、考え方に感動するって要素、「魔法」の魅力がいまひとつだったかな。

第3話の感想でも同じこと書いたけど、原作にはないドラマのオリジナル案件は、どうしてもコンセプトが薄くなりがちで、他方で、依頼者側のキャラクターが多すぎて、一人ひとりの描き込みも浅く、プロットの焦点が絞り込めていない感じがする。

今回は、大家族リノベ案件と一休食堂のリノベ営業が同時進行だったので、進ノ介の腐ったチーズの箱も含めた「パンドラの箱」というキーワードだけでこれだけの要素をくくるのは、ちょっと無理があったんじゃないかなあ。

でも、まあ、その他小ネタ(竜之介とミコトのバーのシーンとか小出と越後のおでん屋台シーンとか)の要素は、結構面白く笑えて、ドラマの世界観は生き生きとしているので、大きな瑕疵にはなっていないと思うけどね。

 

さて、小梅と玄之介の未来はどうなっていくのか、ドラマが終わってしまうのは、この上なく寂しいけど、最終回が待ち遠しくてしょうがない。