薄々予感があり、恐れていたことが遂に現実のものとなってしまった。

雨宮秀一、いや、その名を騙っていた男(林遣都)の嘘が、しかも最愛のはずの人、望緒(波瑠さん)によって唐突に暴かれる。

彼の横顔を愛しそうに描いていた望緒の手が不意に止まり、その顔が青ざめて硬直する。とっさに中学時代のスケッチブックを取り出して、自分がかつて描いた絵をじっと見つめる望緒。

違う、・・・耳の形が違う、恐る恐る男に目を向け、呆然とする彼に対して、不安に突き動かされ、かろうじて絞り出すように、だれ?!、あなた・・・誰!?、と問う、怯えたその目が言葉以上に心の衝撃を現わす。

取り乱して、逃げ出すように去って行く男。崩れ落ちる望緒。

その瞬間に至るまでの心がほっとする二人きりのシーン、疑惑と不信を乗り越え、ようやくお互いの思いを確かめ合った二人の関係が一瞬にして崩壊する。

何てショッキングな、そして何て悲しい展開。

今回のハイライトは、なんと言ってもこのエンディング。

 

波瑠さんと林遣都の二人の芝居のリアリティー、迫真性がすごい。

雨宮が実は別人なのではないか、という想定は、ネット上の「考察」でもずっと噂され続けていたけど、それが予想通りになっても、衝撃が希薄になることがない。

これは二人の芝居が、そのシーン限りの表面的なものじゃなく、初回からずっと望緒と雨宮(仮)というキャラクターの本質とその相互関係に対する理解をしっかり表現し、積み重ねてきたからだと思う。先の台本も渡されない状況でも、演じる役の人格から外れることのない芝居だからこそのこの衝撃。

このシーンの印象があまりに強かったので、今回のエピソードを繰り返し見ても、冒頭からエンディングへ向けて、胸がどんどん苦しくなって、稜(溝端淳平)や玲子(本仮屋ユイカ)との4人での楽しい食事の場面、雨宮(仮)と稜との激しい衝突、りえ(松村沙友里)に毅然と向き合う望緒を傍らで見守る雨宮(仮)、そして二人で抱き合って、約束だった似顔絵を描いている間の束の間の安らぎ、すべてが最後のシーンへ向けての助走だと思うと、観ていて気持ちがぞわぞわ、背筋が凍りそうになっていくのを感じる。

 

でも、このドラマの展開、どうやらただの謎解きドラマになる気配はなくて、ほっと一安心(笑)。

視聴者の予想をはぐらかすだけの詰まらない設定じゃなく、ある程度あえて予想通りの展開にして、物語の主眼を登場人物たちの動機や心情、そしてその結果、それぞれの運命に対する立ち向かい方へとシフトさせていってる印象。

余計な思わせぶりやエピソード稼ぎのための肩透かしがなくてよかった。

 

今回のエンディングは、波瑠さんのお芝居が体現しているように、単なる驚愕だけで終わるんじゃなく、雨宮を名乗っていた男への望緒の気持ち、それは相手の望緒への気持ちと同様に、否定することのできない「愛」があったはず、ただ愕然として自失するだけじゃない、相手への思いがなおも望緒をつき動かしていく。絶望の底に沈みそうな雨宮(仮)も、それでも望緒のために、何かを必死に模索する。

そういう心情、この後の二人の行方への予感がしっかりと伝わってくる。

何が嘘で、何が嘘ではないのか、それが明らかになるあと2話。

しっかりと見届けたいと思う。