もう、とにかくめまぐるしい展開とショッキングな出来事の連続で、ドラマから目が離せない。

前回のエンディング、望緒(波瑠さん)が優美(黒川智花)から死に際に、奈々江(新川優愛)を殺したのは自分だ、と聞かされるシーンは、臨終の回想へと転じ、優美と奈々江との確執、転落死に至る一部始終が明らかになる。

優美の葬式で憤りを抑えきれずにDV夫・正(徳重聡)を突き飛ばして責める望緒に正が逆ギレ、お前が死なせたんだ、とすごい形相で怒鳴られてしまう。

亡妻の不倫相手への復讐で躍起になる正は、稜(溝端淳平)がその相手ではないかと、望緒たちに執念深くつきまとい、稜のワイナリーでは悪質な嫌がらせが続発する。

稜に電話をした望緒は、稜の母親からワイナリーの風評被害や稜の父が心労で倒れたこと、奈々江を偲ぶ会に場所を貸したことを後悔してることを聞かされ、ひどく落ち込んでしまう。

ストレスを紛らわそうとワインで飲み潰れた望緒を心配した雨宮(林遣都)が夜中に訪ねてきて、戸惑い、自虐する望緒に優しい言葉をかけ、望緒の心を和らげ、望緒が寝付くまで介抱してくれる。そして、夜が明けて、寝覚めの美しく、この上なく優しいキス。

でも、ここからさらにストーリーの振れ幅大きく、二転三転。

稜のワイナリーの立て直しを手助けしようと望緒が駆けつけ、そこでブドウの苗が切られる被害が明らかになり、望緒が雨宮と玲子(本仮屋ユイカ)を呼んだことで、雨宮と稜との間で望緒への思いをはらませた諍いになり、続いて、稜と望緒と玲子で犯人捜しの証拠のための張り込み、正の家の家政婦の逮捕、しかし、それもうやむやになりそうな場面へ雨宮が登場しての正のDVをネタにしてのはったりと偽装ゆすりから、スキャンダルの雑誌記者への暴露、結果としてワイナリーの窮地からの脱却、その後の正の失脚、急転して、稜から中学時代の夏祭りの夜の真相が明かされ、稜たち4人の花火が中野の家の失火の原因か、というところで最後は、雨宮がエレベータ内で正にナイフで刺される、という思いもよらぬ物語の流れ。

確かに、ジェットコースターのような、と言うより、このコーナーを曲がったら次に何が出てくるか分からない、驚愕とホラーの連続の「お化け屋敷」(笑)のような展開、と言った方がいいんじゃないかしら。

 

いやあ、でもこんな突拍子もないシナリオでも、波瑠さんのお芝居は魅力たっぷり。

優美の葬式で正に立ち向かうときの強い思いを込めた表情、自責の念で気持ちが沈んでしまったときのやりきれない様子、雨宮の優しさで立ち直り、ワイナリーでの稜とのいかにも幼なじみとの会話の屈託のなさ、玲子に雨宮との仲を詮索されての照れと気まずさ、颯爽と正をやり込めて問題を解決した雨宮への憧れの眼差し、夏祭りの夜の話を聞いたときの驚き、感情的にはアップダウン激しく、キャラクター表現が過剰に変転して、リアリティーがなくなりそうなところを絶妙なバランス、そしてどれも最高に美しいビジュアルで演じている。

今回はなんと言っても、雨宮との目覚めのキスのシーン。酔い潰れて吐いて、とても恋人には見せられない醜態でも、望緒の寝顔はとびきり可憐でキュート、望緒がどんなにぼろぼろでも雨宮は少しも気にせず、そっと望緒の頬を撫でながら、静かに唇を重ねる、このキスは、これまでの波瑠さんの演じた数々のキスシーンのうちで一番妬けるシーンかも。それくらい、観ているこちらまでドキドキがとまらない。

また、その後立ち直っての稜との会話のシーンも、「~だよ」って、力が抜けて、くだけた口調の感じ、この親密さもすごくいい。たまらない。

波瑠さんのインタビュー記事にもあったけど、監督から深夜ドラマなので大ぶりな芝居を求められて、でも、望緒という人物の気持ちから外れたくない、という波瑠さんの芝居への向き合い方が、確かに見事なバランスになっているように思う。望緒の気持ちも、ただ状況に狼狽して翻弄されているんじゃなく、愛する人や友だちを信じたい、という一心から暗中模索や紆余曲折になってしまっている、と波瑠さん曰くのその感じ、すごく伝わってくる。

 

当然だけど、一方でこれに対応する林遣都の芝居も見応え十分。善人なのか、悪人なのか、まったく心の内が読めず、望緒への愛も本当なのか嘘なのか、まるで見えてこない。感情が表出されているようで、秘められている、これはなかなかできる芝居じゃない。

波瑠さんと林遣都の芝居のハーモニーがこのドラマをリアリティー欠如の荒唐無稽な危うさへ落ち込むのを救っている。

今回は、加えて、溝端淳平の三角関係の表現もなかなか見事で、ドラマに立体感があった。

 

さて、ストーリーの方は、この先まったく予想がつかない状況で、何だか徳重聡の怪演ばかりが注目を集めがちな、果たしてこれでちゃんと納得の行く犯人とか黒幕とかいるの?って、少し心配になってきた(笑)けど、ま、ストーリーはストーリーでそれなりに結構楽しめるんじゃないか、と期待してる。

(って、ストーリー以外のものだけ楽しみにしてるわけじゃないんだけど(笑))

どうやら、金曜ナイトドラマってこの枠、だいたい全8話での構成のようだから、気がつけばもう今夜は第5話で後半突入。意外とあっという間で、心してドラマ視聴に集中していきたい(笑)。