いい具合でドラマが軌道に乗り出している。

第2話では謎がますます深まり、第1話での奈々江(新川優愛)の死に続き、今度は望緒(波瑠さん)自身が誰かに狙われるという緊迫感のある展開。傘の取り違えで後輩のりえ(松村沙友理)が事故に遭うというシーンの演出は、観ているこちらも傘の違いに気がつかず、遂に望緒が・・・とかなり焦ってしまった(笑)。

前回も奈々江の望緒のアパートへの不法侵入とか、原作との違いは結構あるんだけど、今回は明らかに望緒に危害を加えようという意図が描写されていて、これは、原作のひょっとして望緒にチャンスを与えるために、犯人は望緒のためを思ってりえを狙ったのでは?というストーリーとはかなり違う。

また、その後の展開も、雨宮(林遣都)に対する望緒の迷いや疑いが高まるような、雨宮の女癖の悪さとか、見知らぬ人に愛を告げる携帯電話の盗み聞きとか、取り違えの原因となった奈々江の形見の傘を知っていることとか、玲子の調査で奈々江の事件の当日や望緒が誰かに突き飛ばされた日の雨宮の行動とか、そういう不審な事実が積み重なる。

他方で、望緒は、漫画家としての自信のなさを吐露して雨宮に慰められ、りえの事故で巡ってきたチャンスへの挑戦を雨宮に励まされ、その優しさに秘めた恋心がときめく。

だから、レストランでの二人にぎこちない会話も緊張感がじわじわ心に迫ってくる。

玲子との電話を終えた望緒の背後にすっと立つ雨宮の姿には思わずぞっとして。

本当は信じたい、雨宮のことをもっと知りたい、だけど信じてよいのか、知るのが怖い、というためらいと不安が、やがて望緒を突き動かし、どうして嘘をつくの、と雨宮を問い詰めてしまう。このシーンの雨宮の態度、表情がまた絶妙。怖れていたときが来てしまったとでもいうような、驚きと困惑と悲しみが入り混じったような、半ば呆然とした、しかしどこか冷めた眼差し。

その後で雨宮が一部始終を説明し、とりあえず疑惑や誤解は晴れて、二人の距離はますます近くなるのだけど、一方で雨宮はかえってミステリアスな存在に・・・。

この流れの波瑠さんと林遣都の芝居の見応えはすごい。

普通のサスペンスドラマだと、わざとらしい説明シーンになってしまいそうなところ、特に、望緒が雨宮に疑惑を直接問いただすって、凡庸な芝居だとかなり唐突で不自然な展開になるんだけど、そこまでの二人の関係、お互いの心情描写の積み重ねがあるから、違和感は相当希薄になってる。

むしろ、多少の違和感よりも、望緒と雨宮の切なく複雑な気持ちのやり取りの方がずっと印象が強い。

 

波瑠さんへのインタビューでも、ラブサスペンスについて「説明的なせりふを説明と思われないようにしないといけない」と難しさを挙げ、加えて「視聴者の皆さんをドキドキさせなきゃいけないけど、その目的で演じるのはお芝居なのかな?と疑問でして。そのバランスを常に考えています」と、波瑠さんが答えているのも、うんうんと思わず納得。

これ、他の役者、そして他の共演ペアでは、波瑠さんや、波瑠さんと林遣都のような深みのある芝居はなかなかできないと思う。

他のドラマをディスるつもりはないのだけど、湊かなえのドラマによくあるような、謎解きのためだけの不必要に込み入った人間関係、浅薄でご都合主義的な心情描写、~と思わせておいて実は~、という思わせぶり、肩すかしの繰り返し、という、サスペンスドラマの悪い意味でのあるあるには今のところはまらずにいて何より。

できれば、無関係なエピソードが偶然に一致するとか、プロットが拡散して謎が深まる展開ではなく、登場人物たちの過去のトラウマに物語が収斂していくような、そういうプロットを期待している。

 

考察をするつもりはないのだけど、期待ということでは、主人公の望緒自身が謎の鍵となっていて、物語の中心に望緒が立つことになり、そして、望緒を思う誰かの気持ちが「愛しい嘘」につながっているような、そんなストーリーになったらいいな、と思う。

原作は2巻までしか読んでないので、ある程度予想がつくのは来週まで。その先は、未知の世界がおおいに楽しみ。

 

あと、これは完全に蛇足だけど(てか、自分にとってはすごく大事なんだけど(笑))、望緒が必死になって漫画を描くシーン、おでこを出してる波瑠さんの言葉を絶する美しさ、可憐さ、キュートさ、こういうのもっとください(笑)。