今回はオリンピック中断前の前半の締めくくり、成瀬(田中圭)に対する医療訴訟を巡ってナイトドクター5人の絆が深まる、というなかなか見応えのあるエピソードだった。

 

ただ、医療ドラマと青春群像ドラマというバランスで言うと、今回はかなり医療ドラマよりの内容。インフォームド・コンセントの意味を問う、というテーマを踏まえて、医師と患者やその親族との信頼関係のあり方が描かれる。

そういう意味では、今回のエピソード主人公は確かに医師の成瀬なんだけど、ドラマの中心はどうしても患者側になる。特に、虐待されている幼児を両親に無断で保護し、我が子同然に愛を注ぐ女性・越川法子(紺野まひる)と事故で重傷を負った息子が成瀬による手術後に半身まひになってしまい、成瀬を裁判で訴えることになる母親・秋山真紀(山本未来)の二人の心情描写の対比が印象的。

越川法子が子供の命を救いたい一心で、犯罪だと言われても、何としても手術をしてほしいと必死に懇願するシーンや手術が無事終わって安堵で涙があふれ出すシーンは、紺野まひるの芝居もすごく感動的。また、秋山真紀の、息子の事故によるショックと不安の中で手術への同意を求められる動揺と困惑、息子から手術に同意をしてくれてありがとう、の一言でやり場のない後悔や自責の念、その憑き物がとれた表情の変化、ここの山本未来もなかなかよい芝居をしている。

今回のストーリーも、これまでのエピソードと同様、医師が患者に教えられる、という展開で、成瀬が越川法子の子供を思う真剣な気持ちに触れ、技術の向上ばかりを追って、患者との信頼関係に思いが至らなかった自分を顧みる、というプロット。ここでも指導医・本郷の言葉がカギとなり、自分の形だけの、マニュアル通りのインフォームド・コンセントがいかに患者の親族を精神的に追い詰めていたかを知ることになる。

 

まあ、今回はかなり内容的に盛りだくさんなものを詰め込んでいたし、メイン・キャラクターが感情をあまり表に出さない成瀬だったこともあって、医師側のドラマは若干印象が薄くなってしまったかもしれない。また、ドラマ的にはエピソード主人公・成瀬の自己完結的な展開に近く、その点、さすがに田中圭の芝居に説得力はあったのだけど、美月はじめ他の4人との関係も描写はやや単調だったかな。

でも、両親の同意なしでの手術という責任を自分一人で負おうとする成瀬に、一人にはさせない、と美月・幸保がすっとサポートに入るシーンは、かなりぐっとくるものがあった。

 

ということで、普通の医療ドラマはあまり好きじゃない自分にとっては、波瑠さん演じる美月のウェイトがそれほど大きくなかったこともあり、今回のエピソードは少し物足りなかったかな、という気がしないでもない。

でも、これでナイトドクター5人の関係がおせっかいで熱量高い美月を中心に目に見える形になってきて、これがドラマ後半への土台となるのは期待十分。

でも、きっとこの5人の関係は、これからいろいろな試練や葛藤に直面するんだろうな。

って、さっそく次回予告では、美月にとんでもないアクシデント、そして救命医としての挫折(?)が待ち構えていそうで、なんだか胃が痛くなりそう。

だいたい、今回こそは波瑠さんが患者役をすることはないだろうと思っていたのが、やっぱりあるのかい、って思わず突っ込みたくなる(笑)。

ドラマ全体としては、本郷(沢村一樹)の過去にも何かありそうだし、桜庭の心臓のドナーのことや母親・麗子との約束が何か悲劇的なフラグになっていないといいけどとか、美月が医師としての成長を成瀬に認めてもらえるかとか、特に、美月と幸保のシスターフッドはもっともっと深く描いてほしいとか、いろいろわくわくする。

もうこの2週間、待ち遠しくてしかたがない。